News:ニュース速報 | 2003年3月7日 09:17 PM 更新 |
キヤノンは同社初の全色に顔料系インクを用いたバブルジェットプリンタを、3月12日にドイツ・ハノーバーで開幕するCeBIT2003に出展するという。昨日から池袋で開催中のIPPF会場で関係者が質問に答えた。発表される製品に関する具体的な情報は得られなかった。
しかし「コマーシャル市場をターゲットとしたもの」とのコメントから推測すると、同社のラージフォーマットプリンタのW7200系、あるいはプロ向けA3ノビカラープリンタのW2200系などに顔料系インクを採用したモデルだと思われる。
耐光性、耐ガス性、耐水性など、あらゆる面における耐久性が求められるプロ向けのカラープリンタ市場では、コンシューマー市場よりも顔料インクへの要求が強い。キヤノンの担当者は「コンシューマー市場において顔料のニーズはほとんどないが、コマーシャル市場は別。顔料インク技術をどのセグメントに投入するかを検討した結果が、CeBITで発表される製品」と話す。
CeBitで発表される顔料系インクジェット技術は、染料系インクジェット技術ほどではないが、何らかの手法で光沢感に関しての答えも用意しているという。写真画質を実現しているとのコメントから、エプソンのPXインクを用いたラージフォーマットプリンタやPM-4000PXなどと競合する製品になると推察される。
キヤノンが顔料系インクジェット技術を製品化したことで、そう遠くない将来にはコンシューマー向けプリンタにおいても、顔料系インクでの競争関係が生まれる可能性も出てきた。現在、顔料系インクジェット技術をコンシューマー製品に採用しているのはエプソンだけだが、キヤノンも顔料系インクジェット技術を持つとなれば、将来的に勢力図を書き換える必要が出てくる。あるいは顔料コンシューマー機で先行するエプソンが、顔料機の製品化計画を前倒しにする可能性もあるだろう。
キヤノンの顔料系インクジェット製品は、短期的にはコマーシャル市場向けプリンタの新勢力でしかないが、中長期的に見ると激戦区のコンシューマープリンタ市場を左右するものになりそうだ。
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