News 2003年3月19日 08:34 PM 更新

NVIDIA、ノートPC向け「GeForce FX Go」を発表

NVIDIAがノートPC向け最新ビデオチップ「GeForce FX Go」を発表した。デスクトップ用GeForce FXと同等の性能を持ちながら、ノートPCで利用できる省電力機能を持っている

NVIDIAは3月19日、東京・帝国ホテルでノートPC向け最新ビデオチップ「GeForce FX Go」シリーズの発表会を行った。デスクトップ用GeForce FXシリーズと同等の性能を持たせながらも、高度な電力管理で省電力化を実現。ノートPCへの搭載を可能にしている。


東芝のSatellite 5200に搭載されたGeForce FX Go5600のモジュール


Satellite 5200搭載のモジュールではビデオメモリが周りに配置されていたが、写真のようにビデオチップダイの裏面に搭載することで、実装面積を少なくすることも可能

ノートPCでDawnが舞う!Ogreが踊る!

 今回発表されたのは、ハイエンド市場向けの「GeForce FX Go5600」と、「メインストリームノートPC向け」(NVIDIA モバイルプロダクトマネージャー Bill Henry氏)の下位モデル「GeForce FX Go5200」の2機種。先日発表されたデスクトップPC向けのGeForce FX 5600、5200(開発コード名はそれぞれNV31、NV34)相当の機能とパフォーマンスを盛り込んでいる。

 GeForce FX Go5600/5200の主なフィーチャーは以下のようになっている。

  • CineFXエンジンを搭載
  • 0.13μプロセスを採用(GeForce FX Go5200は0.15μ)
  • DDR Iメモリを搭載(GeForce FX Go5600で128Mバイト、GeForce FX Go5200で64Mバイト)
  • VERTEX SHADERS 2.0+をサポート
  • PIXEL SHADERS 2.0+をサポート
  • Direct X 9.0のサポート


ノートPCで描画されたDawnとプレゼンターのBill Henry氏。もちろん、Ogreデモも問題なくサクサクと動作。ノートPCでもNV30同様に描画されてしまうのは一種異様な感じだ


GeForce FX Goシリーズは大手ゲームベンダーのEAのリファレンスチップとして認証されている。ハイエンド3Dビデオチップに一番興味を示すゲームユーザーにとって、ゲーム開発で採用されたことはアドバンテージが高い

 Direct X 9.0のサポートでよく聞かれるのが「対応アプリがベンチマークしかない現状でどれだけ有効なのか」ということ。しかし「購入したら3〜5年は使いつづけるノートPCでは、現状のアプリにだけでなく、将来のアプリにも対応しなければならない」(Bill Henry氏)。換装できないソリューションだけに、実は重要なのだという。

GeForce FXなのに省電力を実現できるのか?

 ノートPCでは必須の省電力性能は、これまでのGeForce4 Goでも使われてきた「PowerMizer」の最新 バージョンPowerMizer 3.0で実現している。

 PowerMizer 3.0は、インテルのSpeedStepテクノロジーのように、ノートPCの電力供給の種類を判別してAC供給とDC供給のモードを自動で切り替えるだけでなく、CPUとGPUの負荷を監視。負荷の変化に合わせて駆動クロックと消費電力を3段階で切り替える。

 スペック上の最高動作クロックは、GeForce FX Go5600でコア/メモリクロックが350MHz(消費電力6ワット)、GeForce FX Go5200で300MHz(消費電力6W)だが、最小設定では動作クロック25MHz(消費電力1ワット)まで下げられる。

 「ノートPCベンダーは開発製品の形状にあわせて自由に設定できる」(Bill Henry氏)。「デスクノートのような大きなきょう体では最高クロックで使ってもらい、低い消費電力で設定してもらえば、小型のノートPCでも搭載が可能になる」(NVIDIA 事業開発統括部長 飯田慶太氏)。

 なお、NVIDIAは最高クロック時におけるPC内部の想定最高温度を70℃としている。


PowerMizer 3.0による消費電力削減を示すデモ。グラフは上からCPU占有率、システム消費電力、CPU消費電力、GPU電力。縦軸は消費電力で横軸は時間を表している。高い消費電力を維持していたシステム(グラフ左)が、PowerMizer 3.0を有効にすることでピーク時間が激減。「消費電力は10ワット程度削減できる」(Bill Henry氏)

 NVIDIAが用意しているパワーマネジメントユーティリティでは、パフォーマンス重視モード、バッテリー駆動時間重視モード、その中間のモードの3モードをユーザーが自分の利用形態にあわせて選択できるようになっている。ただし、これは動作クロックと消費電力を変更するものではなく、負荷にあわせて(PCベンダーが定めた)3段階の動作ステップをどのように切り替えるかを設定するものだ。

 PowerMizer 3.0では測定した負荷変化にあわせて、動作環境を切り替えているが、この場合、負荷変化の「将来予測」をしないと、負荷のピークよりパフォーマンスのピークが遅れてしまう。この将来予測の有無については「現状では実現されていないが、次期バージョンの課題として取り組んでいるところ」(Bill Henry氏)という説明だった。

 すでに3月12日のCeBITで動作展示されていたGeForce FX Go5600搭載の東芝「Satellite 5200」は、北米市場で4月から市場に投入される予定だ。


モバイル用ソリューション開発責任者のBill Henry氏。デスクトップ用GeForce FXと比べたパフォーマンス、ベンダー向け出荷価格などの詳しい説明は残念ながらなかった

関連リンク
▼ NVIDIA

[長浜和也, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.