News | 2003年4月10日 00:37 AM 更新 |
東京ビックサイトで、4月9日から電子ディスプレイの専門展示会「EDEX2003 電子ディスプレイ展」が開催され、国内外の関連メーカー29社/団体が、最新技術を駆使した電子ディスプレイ関連製品を披露している。
かつて日本のお家芸だった液晶ディスプレイも、近年はアジアメーカーの台頭で状況は変わっている。今回の展示会でも、TV向けの40−50インチといった大画面モデルや、低価格な液晶ディスプレイで攻勢をかける韓国・台湾メーカーに対して、液晶ディスプレイにさまざまな付加価値を搭載することで差別化を図る国内メーカーというように、現在の液晶ディスプレイを取り巻く構図が各社出展内容に色濃く表れていた。
スキャナ機能やシステム液晶など――付加価値で勝負する日本メーカー
液晶ディスプレイの新しい可能性の1つとして注目を集めていたのが、東芝松下ディスプレイテクノロジーが4月3日に発表した「インプット・ディスプレイ」。液晶画面をスキャナとして利用できる世界初の製品だ。
インプット・ディスプレイは、さまざまな機能を液晶パネルに直接内蔵する技術「SOG(System on Grass)」を使って、低温ポリシリコンTFTの画素の中に光センサー素子を作り込むことで液晶画面からの画像取り込みを可能にした。同社ブースでは、来場者の名刺を液晶画面から取り込み、そのデータをすぐに取り込んだ画面に表示するというデモンストレーションが行われていた。
試作機の画面サイズは3.5型のQVGA(320×240ピクセル)だったが、PCモニタ並みの15−20インチクラスも技術的には十分可能という。また、通常の液晶を作る製造プロセスで生産できるため、機能付加によるコストアップの心配も少ないなど、製品化へのハードルは意外と低そうだ。
「むしろ、液晶にスキャナ機能が載ることでどんな新しい使い方が生まれてくるのかといった、アプリケーションの部分を重視している。単にスキャナの代わりをしたり、指紋認証、名刺/バーコード読み取りなどだけでは面白みに欠ける。展示会を活用してユニークな使い方などユーザーの声を集め、製品作りに反映していきたい」(同社)。
シャープのブースでも、CGシリコン(連続粒界結晶シリコン)をベースにすることで液晶ドライバIC/コントローラ/電源用ICなど機能部品を同一パネル上に形成した「システム液晶」の製品ラインアップを出展していた。
昨年秋から量産が開始されたシステム液晶は、LinuxザウルスやJフォン端末など同社製品だけでなく、ソニーのミニノートPC「バイオU PCG-U101」といった他社製品でも採用が始まっている。同社ブースでは、PCG-U101に搭載された7.1型XGA(1024×768ピクセル)パネルのほか、7.4型WXGA(1280×768ピクセル)のワイド画面タイプの液晶パネルも紹介されていた。
「7.4型WXGAタイプは、ノートPC向けとしてすでに出荷されている。近いうちにワイド画面のシステム液晶を搭載したノートPCが登場するだろう」(同社)。
[西坂真人, ITmedia]
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