News | 2003年4月25日 00:48 AM 更新 |
ビー・エイチ・エー(BHA)は4月25日、新しいビデオ圧縮アルゴリズムを採用したビデオコーデック「XVD」を発表した。XVDは米国のDigitalStream USAが開発したビデオ圧縮技術。DVDクオリティで映画1本をCD-R1枚に記録できる、高品質を維持した高圧縮率を特徴としている。
発表に先立って東京全日空ホテルで行われた製品説明会では、ほかのビデオ圧縮方式と比較した表示品質と圧縮率の違いや、XVDで圧縮した画像のデモンストレーションが行われた。
BHAの説明によると、動画圧縮のアルゴリズムは、キーフレーム方式ながら、画質と圧縮率のトレードオフを最適にしたフレーム間隔の設定ができる独自のアルゴリズムを採用している。また、マルチパスビットレートコントロールや、オブジェクト/ブロックモーション予測でもオリジナルのアルゴリズムを採用している。
また、BHAからは、同程度の画質を維持できる圧縮ビットレートのデータも、S-VHS、DVD、HDTVのそれぞれのクオリティで提示された。それによるとXVDはMPEG-2の7分の1、MPEG-4の2分の1の圧縮率となってる。MPEG-4のデータは、高い圧縮率を誇るDixXのバージョン5.0.4によるものなので、動画フリークにとっては、インパクトのあるビデオ圧縮技術が登場したことになる。
BHAの代表取締役社長 吉原正治氏は、XVDをPC市場だけでなく、家電ビジネスやストリーミングビジネスでも展開していくと述べ、VHSビデオレコーダの代替えとして「XVD CD/DVD Recorder」の構想や、ストリーミング用STBビジネス展開を明らかにした。
XVD CD/DVD Recorderビジネスでは、エンコーダチップのOEM供給の準備が完了しており、また、STBビジネスではレオパレス21の一部物件にてXVD対応のSTBの採用が決定している。
当日の説明会では、アイ・オー・データ機器のハードウェアXVDエンコーダカード「GV-XVD/PCI」も紹介された。発売は5月31日の予定。予定価格は3万7000円。GV-XVD/PCIはMPEG-1/2、AVI、WMV、MP3などの多様な映像/音声ファイルを入力して、XVDフォーマットに再圧縮する。また、これまでMPEG-2などで難しかったリアルタイムキャプチャーも可能になった。
製品にはファイル変換に使う「I-O DATA XVD Compressor」、リアルタイムキャプチャーに使う「I-O DATA XVD Recorder」のほか、BHAが開発した編集ソフト「XVD Editor」が同梱ソフトとして用意されている。
発表会場では、AVIファイルをWindows Media Video 9(WMV9)と、XVD Compressorで変換するデモが行われたが、XVDが変換を終了し再生も終わる頃、ようやくWindows Media Video 9で変換が終わっていた。
アイ・オー・データ機器が行ったテストでは、2.6GバイトのAVIファイルをそれぞれ映像700Kbps音声64Kbpsで変換した場合、Celeron/1.7GHz、メモリ256MバイトのPCで、XVDが2分10秒、WMV9が13分39秒という結果になった。
また、アイ・オー・データ機器はリアルタイムで高圧縮キャプチャーができるXVDの特徴を生かし、大容量HDDを組み合わせた長時間録音可能なPCベースHDDビデオレコーダを構想している。HDD容量が160Gバイトの場合、320時間の録画が可能になるとしている。
なお、現時点でXVDエンコードを行うには、GV-XVD/PCIを使う以外に方法がない。BHAはソフトウェアエンコードの開発を行っており、2003年の夏に供給を開始するとしている。ただし、ソフトウェアエンコードに必要な推奨PC環境については、開発中であるため明らかにされなかった。
XVDフォーマット画像の再生デモでは、DVDクオリティ、HDTVクオリティの画像を紹介。最後にサプライズイベントとして、離れたスタジオでスタンバイしていた「世良正則」のXVDライブ中継が行われた。
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[長浜和也, ITmedia]
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