News | 2003年5月6日 09:36 PM 更新 |
オリンパス光学工業が4月に発表した10倍ズームのコンパクトデジカメ「CAMEDIA C-740 Ultra Zoom」と、昨年11月の発売以来人気となっている松下電器産業の12倍ズーム機「LUMIX DMC-FZ1」。35ミリカメラ換算で400ミリ前後に匹敵する高倍率ズームレンズを小型軽量ボディに収めた注目の2機種を、機能や使いやすさ、画質など、さまざまな角度から比較してみた。
オリンパスは2001年3月に光学10倍ズーム搭載の小型軽量モデル「C-700 Ultra Zoom」を発表。売れ筋価格帯のコンパクトデジカメ市場に、高倍率ズーム機という新ジャンルを築き上げた。昨年9月にはC-700の流れをくむ10倍ズーム320万画素機「C-730」を発表。今回のC-740はC-730とほぼ同じスペックながら、コストダウンとさらなる小型・軽量化を図り、6万3000円(実売5万円前後)という売れ筋価格帯で「10倍ズーム搭載320万画素モデルとしては世界最小ボディ」(同社)を実現した。
高倍率ズーム搭載コンパクト機市場でのオリンパスの独走に、昨年末“待った”をかけたのが松下電器産業だ。2002年10月に発表されたFZ1は、10倍のUltra Zoomシリーズを上回る光学12倍という高倍率ズームを、114×70.3×83.3ミリ/318グラム(本来のみ)の小型軽量ボディに装備。光学手ブレ補正などハイエンドモデル並みの機能を備えながら実売5万円前後という価格設定で、一気に売れ筋モデルとなった。編集部でも、FZ1の愛用者は多い。
このFZ1と、Ultra Zoomシリーズの最新機種であるC-740は、価格/サイズ/スペックの点で競合するライバル機。両機種の主な仕様は以下の通りだ。
製品名 | C-740 Ultra Zoom | DMC-FZ1 |
撮像素子 | 有効320万画素CCD | 有効200万画素CCD |
最大記録画素数 | 2048×1536(JPEG、TIFF) | 1600×1200(JPEG) |
動画記録方式 | Motion JPEG(最大320×240ピクセル) | |
ズーム(デジタル) | 光学10倍(3倍) | 光学12倍(3倍) |
レンズ(35ミリカメラ換算) | 6.3-63ミリ(38-380ミリ相当) | 4.6-55.2ミリ(35-420ミリ相当) |
マクロ | 3センチ(スーパーマクロ時) | 5センチ |
シャッタースピード | 1-1/1000秒(マニュアル時16秒まで) | 8-1/2000秒(オートのみ) |
ISO感度設定 | オート/100/200/400 | オート/50/100/200/400 |
ファインダー | 電子ビューファインダー(EVF) | |
液晶ディスプレイ | 1.5型低温ポリシリコンTFT | |
記録メディア | xDピクチャーカード | SDメモリーカード/MMC |
電源 | CR-V3×2/単3形(ニッケル水素、ニカド、アルカリ、リチウム)×4 | 専用リチウムイオン充電池 |
サイズ(幅×高さ×奥行き) | 107.5×66×68.5ミリ | 114×70.3×83.3ミリ |
重さ(本体のみ) | 295グラム | 318グラム |
重さ(撮影時) | 約370グラム | 約350グラム |
価格(実売) | 6万3000円(5万円前後) | オープン(5万円前後) |
発売時期 | 5月中旬 | 発売中 |
両機種とも小型軽量ボディをうたうが、コンパクトカメラをややずんぐりさせたようなC-740に対して、一眼レフカメラを小さくしたようなFZ1と、それぞれ個性の異なる本体デザインになっている。ただ、どちらの製品にもホールド性に優れたグリップが装備されており、高倍率デジカメにとって大敵の“手ブレ”を抑えるための配慮が施されている。
数値上ではC-740が4-7ミリほどコンパクトで23グラムほど軽くなっているが、実際に見比べたり、手に取ってみたりすると、FZ1の方がスリムで軽量に感じる。その大きな理由は“電源の違い”だ。
FZ1は電源に小型の専用リチウムイオン充電池を使ってレンズを除く本体部を薄くしているのに対して、CR-V3(2本)もしくは単3形電池(4本)を使用するC-740は、どうしても電池の厚みと重さが影響してくる。本体のみの重さはC-740が勝っていても、バッテリやメディアを含めた撮影時の重量は、FZ1の約350グラムに対してC-740は約370グラム(CR-V3使用時)と、C-740の方が逆に20グラム上回ってしまうのだ。ただし、市販電池を使えるメリットも大きく、このあたりは好みが分かれるところだ。
スペック上の大きな違いは、「解像度」と「ズーム倍率」。最近のデジカメでは標準スペックになりつつある3Mピクセル(有効320万画素)のC-740に対して、約2/3の解像度となるFZ1の有効200万画素は、今やエントリー機レベルのスペックだ。ただしFZ1は、画素の少なさを高倍率ズームと新開発の画像処理LSI「VENUSエンジン」で補完している。ズームで被写体にグッと近寄ることができるので200万画素でもさほど不満は感じないのだが、320万画素のC-740の方がよりシャープな画像が撮影できる。
両機種の最大のセールスポイントであるズームは、C-740の光学10倍(35ミリカメラ換算で38-380ミリ相当)に対して、FZ1は光学12倍(同35-420ミリ相当)とやや上回っている。しかし、実際に最大望遠側で撮影してみると、40ミリ相当の差はわずかだ。
さらに3倍のデジタルズームを併用すると、FZ1が1260ミリ相当、C-740が1140ミリ相当の“超”望遠が楽しめる。今回の撮影は三脚を使わず、すべて手持ちで行った。FZ1には、光学式の手ブレ補正機構が装備されているが、高速シャッターを切れる屋外の撮影では、手ブレ補正無しのC-740でもブレのない画像を撮影できた。むしろ手ブレよりも、高倍率過ぎて被写体がファインダーからすぐ外れてしまうのに苦労した。
デジタルズーム時では、プラス120万画素の差が撮影画像にはっきり表れた。オリンパスは、さらに高解像度となる400万画素のCAMEDIA C-750 Ultra Zoomを発表している。また、発売から半年が過ぎたFZ1にも、高解像度タイプの噂が出始めている。今後は、高倍率ズーム機にも高画素化の流れが出てきそうだ。
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[西坂真人, ITmedia]
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