News:アンカーデスク 2003年5月15日 11:33 AM 更新

“Xbox2”は、Longhornの端末になるか?

Xboxあるいはその将来版は、単なるゲーム専用機ではなく、Windowsの次世代バージョン“Longhorn”の端末としても機能するようになるかもしれない
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 E3ではXboxタイトルの増加に関して、威勢のいいコメントを出したMicrosoftだが、将来的にXboxあるいはその将来版が、Windows PCの端末としても機能するようになるかもしれない。

 というのも、Microsoftが先週、ハードウェア開発者向け会議のWinHECで明らかにした、次世代のSmart Display技術およびAVリモート端末のコンセプト、要求スペックなどが、Xboxに非常に近いためである。

 既報のように、Microsoftは現在のGDIによる描画指示をTCP/IP経由で発行するアーキテクチャをWindowsの将来バージョンに組み込み、別途、動画ストリームを送受信することで、ネットワーク経由のリモート端末上で、動画も含めたほとんどのユーザー体験をPCと同等にする計画を持っている。

 さらにMicrosoftは、Longhornで2Dや動画を含むすべての画面表示を、3Dグラフィックチップで処理する計画も持っている。この計画では、ネットワーク経由でGDI操作を発行するところからさらに一歩踏みだし、Windowsのあらゆるグラフィック描画操作をネットワーク透過な設計にするという。

 これは、WinHECの技術セッションで、質問に応える形で担当者がコメントしていたものだ(5月12日の記事)。

 ネットワーク透過な3Dグラフィック操作実装の初期段階では、DirectX 8.1レベルの3Dグラフィックス機能を要求(これはXboxのグラフィック機能と合致する)するだけだが、将来的にはDirectX 9レベルの3Dグラフィックス機能が必要になってくる。したがって、長期的に見ると現行のXboxでは対処できない。

 しかしMicrosoftが現在開発中と言われているXbox2ならば、LonghornのMedia Center Editionに対応する端末として活躍する可能性があるかもしれない。

 ただし、次世代SmartDisplay技術に対応するクライアント側のソフトウェアコンポーネントは、Windows CEベースで開発されている。Windows NT系のOSコアを使うXboxに実装する場合は、そのためにかなりの開発リソースを割かなければならない。

 Xbox関係者から、将来のWindowsとXbox2の関係についてのコメントは得られていない。しかし、以前からXboxに関わる幹部の間でも、Xboxを純粋なゲーム機にとどめておくのか、それともWindowsとの関係を強化し、全社的な.NET技術への移行の中で、Xboxにもゲーム機以外の役割を持たせるのかという点で、意見が分かれていることは確かだと聞く。

 一方、Longhorn開発チームは将来、ネットワーク経由で3Dゲームをリモート端末にサーブすることが可能だろうと、WinHECの中でコメントしている。つまりPC上でゲーム本体のプログラムを動作させ、レンダリングやコントローラの入出力、サウンド出力などはリモート端末側で担当するわけだ。

 PC側の彼らにしてみれば、デスクトップPCの強大なパフォーマンスの必要性を喚起する上でも、そうしたソリューションを提案することにメリットがある。だが、アプライアンス上で3Dゲームを楽しむという行為は、Xboxの領空を侵犯する行為でもある。果たして社内競合を促すような機能を実装しようとするだろうか? Xboxが端末になる方が、ずっとスマートな答のように思える。

 WnHECでMicrosoftの担当者に、XboxあるいはXbox2をAVリモート端末としても利用可能にするつもりか?と質問したところ、「普及という観点で見れば、もちろんXboxを活用するべきだと思う。しかし、Xboxにはゲーム業界での足場を築く役割があり、われわれのグループがXboxの機能的な部分において、干渉することはない」と話していた。

 つまり、技術的に可能かどうかと、実際にゲーム機であるXbox(もしくはXbox2)を、ゲーム以外の目的では別であり、その判断はWindowsチームが行うものではない、ということだ。しかしXbox側にとっても、PCの端末としての機能を取り込むことによるベネフィットは存在する。

 その良い例として、プレイステーション2におけるDVD再生のサポートの事例を挙げることができる。PS2は発売当初、DVDプレーヤー兼用のデバイスとして売れた。そのため発売してしばらくは、所有者が多い割にはゲームタイトルが売れないという現象が起きてしまっていた。

 しかし、DVD目的に本体が数多く家庭の中に入り込んだことで開発プラットフォームとしての魅力が増し、ソフトウェアベンダーがPS2向けに多数のゲームタイトルをリリースするようになり、急速にPS2の市場が立ち上がった。

 つまり(ゲームが主目的ではなくとも)本体が売れさえすれば、プラットフォームとしての規模が拡大し、1台あたりのゲームソフト装着率が後から向上するという事例が、すでに存在しているわけだ。

 同様の戦略をMicrosoftが取るのではないか?という話は、現時点では推測の域を出ない。しかし、世界で最もDirectXのパフォーマンスと価格のバランスに優れているデバイスはXboxであり、今後登場するXbox2がその座を引き継ぐことになるだろう。

 テレビに接続する新しい種類のデバイスを1個増やすよりも、あらかじめテレビに接続して利用するゲーム機が将来のWindows端末になってくれた方が合理的ではないだろうか?

 そんなのは与太話? いや、Microsoft XboxゼネラルマネージャーのJ. Allard氏の話を聞いていると、それほど突拍子もない話だとは思えない。



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[本田雅一, ITmedia]

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