News:ニュース速報 2003年5月16日 06:41 PM 更新

日立、100層も可能な多層化光ディスク基本技術を開発


 日立製作所と日立マクセルは5月16日、T(テラ)バイト級の記録容量を実現する多層光ディスク基本技術を開発したと発表した。現行の光ディスクメディアと互換性を保ちつつ、DVDの50倍となる最大100層程度の多層化が可能という。

 多層化は、光ディスクのデータ記録層を複数設け、各層に対しそれぞれデータを記録することで大容量化する技術。記録層はレーザー光スポットの焦点位置を移動させ、任意の記録層にだけ焦点を合わせることで異なる層の記録・再生が行える。市販DVDでは2層タイプが販売されているほか、青色レーザーを使用したBlu-ray Discなどでは2層化することで倍の50Gバイトを実現できるとされる。

 両社の新技術では、与える電圧によって色が変化する「エレクトロクロミック材料」を記録層に使用した。この記録層は電圧によって透明/着色状態を変化させることが可能になっており、記録・再生時はドライブからディスクに電圧をかけて各層の状態を制御。選択した記録層は着色して記録・再生可能な状態にし、別の層は透明にして光を透過させることで記録層を選択できるようにした。

 従来の多層ディスクでは、別の層の影響を除去するために層の間隔を25μメートル程度あける必要があったが、新技術なら0.3μメートルまで狭くできるという。このため従来の2層ディスクと同程度の厚さで100層の多層化が可能だという。

 光学系は現行CD/DVDとの互換性を維持できるという。同技術に基づく1層の12センチディスクを試作し、ディスク回転軸に取り付けたボールベアリングから約2ボルトの電圧を記録層に与えたところ、着色した層に記録マークを生成、ここから信号を読み出すことに成功したとしている。

 今後は多層ディスクによる動作確認を行い、大容量ディスクの実用化を目指す。

 新技術はカナダで開かれた「Optical Data Storage Topical Meeting 2003」で発表した。

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