News 2003年5月22日 08:00 PM 更新

Intel 865G/PEで「ハイパースレッディングの普及を強気で進める」

今回発表されたCPUとIntel 865チップセットファミリーで、バリューレンジを除くすべてのターゲットにハイパースレッディングを提供できるようになった。特定用途でしか意味がないと言われてきたこの技術だが、インテルは「通常の使い方でも十分メリットがある」と「強気」で主張している

 インテルは5月22日に、ハイパースレッディング(HT)とFSB 800MHzに対応したPentium 4を3製品、FSB 800MHzに対応したチップセット3モデルを発表。東京で製品説明会を開催した。会場には米インテルのプラットフォーム&ソリューションズ マーケティング本部 本部長のKevin K. Sellers氏とデスクトップ製品事業本部 チップセット・ソフトウェア・マーケティング・ディレクターのBill Leszinske氏が登場し、製品の説明を行った(製品の価格などは別記事を参照)。


米インテルから説明会のために駆けつけたKevin K. Sellers氏(左)とBill Leszinske氏(右)

 HT対応のCPUとしては、すでにFSB 533MHzベースのPentium 4/3.06GHz、FSB 800MHzベースのPentium 4/3GHzが発表されている。これらはハイエンド製品向け(インテルが言うところの「パフォーマンス/プロフェッショナル」レンジ)であったが、今回発表された「Pentium 4/2.80C GHz」「Pentium 4/2.60C GHz」「Pentium 4/2.40C GHz」の登場で、メインストリームPC(PCの価格で800ドルから1499ドル)でも、HTを利用できるようになる。インテルはHTの普及を今年の重要なミッションと考えている。説明会でも「HTの普及については強気で推し進めていく」(Sellers氏)と発言した。

 これまでインテル製CPUにインプリメントされてきたSSEやSSE2は対応アプリケーションでないと、パフォーマンスのメリットが出てこなかった。HTも「対応アプリがなければ意味がない」と考えるユーザーが多い。これに対して、インテルはIDFや今回の説明会で「Intel 865G/PEとWindows XPとの組み合わせにおいてマルチタスクを処理する場合、パフォーマンスが向上する」と、マルチタスク処理におけるHTのアドバンテージをアピールしている。


今回の説明会では「バックグランドでウィルススキャンを走らせながら、PowerPointをPDFへ変換する」といった具体的な作業におけるパフォーマンスの向上を紹介した。画面の組み合わせは上からOutlook+Internet Exploer+Adobe Acrobat、Outlook+Word+Access、PowerPoint+VirusScan+Adobe Acrobat


Intel 865G/PEの特徴であるCSAもHTとの併用でパフォーマンスが向上する、というインテルの主張を証明するテスト結果。PowerPointファイルをPDFに変換しながら、ネットワークで大容量データをダウンロードする。HTが有効になるとパフォーマンスは約40%向上している

 今回発表されたチップセット「Intel 865G」「Intel 865PE」「Intel 865P」のうち、Intel 865GとIntel865PEはFSB 800MHzとDDR400のデュアルチャネルをサポート。Intel 865PのみFSB 533MHzとPC2700のサポートとなっている。


Intel 865G/PEは、HT、FSB 800MHz、DDR400デュアルチャネル、CSA、ICH5/5Rとサポートする機能は上位製品のIntel 875Pとそれほど変わらない。省略された主な機能はPAT機能とECCのサポート。Intel 865GはFSB 800MHz対応チップセットで初めてビデオ機能を統合した


Intel 865Gに内蔵されたビデオコアは「インテルエクストリームグラフィックス2」となった。従来のIntel 845Gに内蔵されたインテルエクストリームグラフィックスと比較したパフォーマンスは2倍強

 Intel 875Pと今回発表されたIntel 865ファミリーはメモリバスをデュアルチャネルで構成している。このメリットについてインテルは「システム全体のパフォーマンスバランスが改善され、とくに浮動小数点演算の性能はシングルチャネルと比較して30%向上している」と説明。「これからもDDR 400とデュアルチャネルメモリバスの構成は継続して使っていく」(Sellers氏)と明言した。


デュアルチャネルメモリバスでどれだけパフォーマンスが向上するか。インテルは示した資料では、浮動小数点演算と、3DMark 2001 SEで顕著な結果が出ている。このテストにおけるマシン環境はCPUにPentium 4/3GHz、メモリにDDR 400を512Mバイト。そしてビデオ機能はIntel 865G内蔵のインテルエクストリームグラフィックス2を使っている。描画データがメインメモリバスを流れているため3DMark 2001 SEのパフォーマンスが顕著に向上したと考えられる。専用のAGP接続ビデオカードを使えばこの傾向は変わってくるだろう

 説明会で行われた質疑応答では、すでにオーバースペックとなりつつある現在のPCでこれ以上のパフォーマンスが必要か、という質問が出た。これに対し、「これからはブロードバンドネットワークが鍵となるだろう。ただし、現時点ではブロードバンドのためのコンテンツがほとんどない。そのようなコンテンツが普及したとき、HT対応Pentium 4のメリットが生きてくるだろう」(Sellers氏)と、ストリーミングコンテンツ処理におけるPentium 4のアドバンテージをアピールした。

 また、今年中に登場が噂されているPrescottへの対応については、「ソフトウェアパッチを当てることで、現状のIntel 875P、Intel 865G/PEはPrescottに対応できる」と説明。現在レベル0にのみ対応しているICH5RのSerial ATA RAID機能についても、今年の夏にレベル0 or1に対応するマイクロコードパッチを配布し、レベル0+1についても今年中に対応する予定であることを明らかにした。ただし、現在の計画では、これらのパッチをOEMだけに配布する予定になっているため、エンドユーザーはこれらのパッチを反映したマザーボードをベンダーから購入しなければならないとしている。

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[長浜和也, ITmedia]

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