News:ニュース速報 2003年5月31日 11:24 AM 更新

CIA分析官は「ITオンチ」の報告


 米中央情報局(CIA)のITに対する取り組みが遅れていると指摘する調査書が発表された。この調査書はCIAの分析官育成所に附属するシンクタンクSherman Kent Centerに2001年から2002年にかけて在籍した研究者Bruce Berkowitz氏が、CIAの情報本部(DI)内でのIT利用について、DIの分析官や関係者100人近くを対象に身近から綿密な調査を行い、その実態をまとめたもの。

 報告によると、DI分析官のデスクトップ環境は、一見したところ普通の職場とさほど変わらない。最低2台のコンピュータが1台のモニタにつながれ、セキュリティ処理を施した電話機と普通の電話機が置かれている。だがこれらコンピュータのうち1台は、機密を保持したCIAのネットワークにつないであり、どんなものであれ部外秘の仕事を扱うときにはこちらのマシンを使う。もう1台はCIAのサービスプロバイダーを通じてインターネットにつながれているが、このマシンを使って機密の作業を行うことは許されていない。各自は切り替え機を使って1つのキーボード、マウス、モニタを複数台のマシンで使っている。CIAの仕事のほとんどすべては、機密扱いのネットワークを通じて行われている。非機密扱いのコンピュータは、主にインターネット閲覧と非機密内容の電子メールの送信に使われている。

 CIAはその機能上、セキュリティを重視しているが、おそらくはそのことが、同局におけるITの効率的な利用を阻んでいる最大の要因だとBerkovitz氏は指摘する。その姿勢は「リスク管理」でなく「リスク逃避」とも言えるものだという。

 例えば、CIA施設内では最近まで、拳銃や爆発物と並んでPalmPilotの所持が禁止されていた。CIA本部でのインターネット導入もかなり遅れ、分析官1人ひとりのデスクからネットにつながるようになるまでには、さらに時間がかかった。こうした技術を疎んじて導入が遅れたことで、DI分析官はITを仕事に生かすノウハウの面で外部の分析官に遅れをとっており、情報収集作業にITをうまく取り入れられていないとBerkovitz氏は指摘している。

関連リンク
▼ Bruce Berkowitz氏の調査書

[ITmedia]

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