News 2003年6月4日 11:55 AM 更新

Motorola、バグダッド警察用に地上基盤無線システムを受注

米国防総省はバグダッドの警察無線システムとして、TRSと呼ばれる無線システムをMotorolaに発注した。セルラー無線で先月受注したWorldComに次ぐ、イラク復興用大型インフラ受注である。

 米国防総省はバグダッドの無線コミュニケーションシステム強化を続けており、Motorolaの連邦市場事業部との間に1580万ドルの契約を結び、イラク首都、バグダッド警察隊(Baghdad Police Force)の無線システムを構築する。

 防衛情報システム局(DISA)の広報担当者であるベッツィー・フラッド氏によれば、バグダッドの契約は5月30日に結ばれたもので、携帯型および車載型の移動無線3000個、ベースステーション、予備部品、リピータ、タワーの購入および設置が含まれる。イリノイ州ショームバーグのMotorola 広報担当者、ノーム・サンドラー氏は、このシステムに関するこれ以上の詳細は明らかにできないと述べている。

 「発表自体は基盤無線システムに関するものと思われるが、われわれはこの正式発表を今朝知ったところなので、技術的な詳細を語る立場にない」とサンドラー氏は語った。

 基盤無線システム(Trunked Radio System、TRS)は複数の無線チャンネルを自動で共有するためのものだ。あるチャンネルのグループは、その時にそのチャンネルを共有している特定のユーザーのグループ(たとえば警察や消防)に割り当てられる。あるユーザーが無線で呼び出しをしようとすると、TRSが利用可能なチャンネルを探し、その呼び出しに割り当てる。MotorolaはTetraという標準をサポートするTRSを製造している。これは暗号化機能を内蔵しており、3万ユーザーまでサポート可能。Tetraは地上基盤無線(TErrestrial Trunked RAdio)の略で、デジタル双方向無線通信における欧州電気通信標準化機構(European Telecommunications Standardisation Institute、ETSI)の唯一のオープンスタンダードであるとMotorolaは説明している。

 ペンタゴン、DISAともに、現時点では「バグダッド警察隊」がどのような構成なのかについては説明していない。プレスのレポートによれば、バグダッド陥落以降、イラク人による警察は非武装化され、ほぼ解散状態にあるという。しかし一方、一部のイラク人警察官は米軍とともにパトロールを行っている。ドイツを本拠地としている米国陸軍の709警務大隊は現在、バグダッドで活動している。

 Motorolaの契約に先立ち、国防総省は先月、WorldCom(MCIにブランド変更中)との間に2000億ドルの契約を結んでいる。これは、バグダッドにセルラー電話システムを構築し、米国の要員が通信できるようにするためのもの。このとき、米国空軍の広報担当であるケン・マクレラン中佐は「通信するための機能はセキュリティの努力を前進させるだけでなく、人道的努力においてもきわめて重大だ」とバグダッドで語っている。

[Bob Brewin, IDG News Service]