News:アンカーデスク | 2003年6月6日 11:57 PM 更新 |
今年もまた暑い夏がやってくる。エアコンがフル回転し、電力需要がピークを迎える季節だ。オフィスの電力需要は、PCの普及とともに増大の一途をたどっていると言われる。PCの消費電力に加え、発熱によってエアコンへの需要がさらに増すためだ。
その上、高性能なPCやサーバでは、その消費電力(=発熱量)も増す傾向にある。しかし、今後は消費電力の増大を何らかの方法で抑制しない限り、PCやサーバの信頼性を維持できないところまで来ている。
熱すぎるPCは正常なのか?
本来コンピュータにとって熱は大敵だが、特に最近の高性能PCやサーバは異常なほどの発熱量だ。しかし、慣れとは恐ろしいもので、いつしかそれが当たり前のように感じられるようになってしまった。
だが、考えてみてほしい。たとえば、ひざ上に置いて使うと低温やけどしそうなノートPCは、“異常な商品”ではないのか? また、ビジネスに欠くことができない重要な役割を担うサーバが、ひとたび冷却用のファンが故障して停止すればダウンしてしまうことは許されるのか?
こうした問題は氷山の一角に過ぎない。実は、発熱の問題はこのまま行けばあと数年で、とんでもなく深刻な状況になろうとしているのだ。つまり、今後のPCの高性能化と信頼性の確保は、消費電力(=発熱量)をいかに抑えるかに関わっており、この問題に対してうまい解決策が見つからなければ、この業界自体の発展が急減速することになる。
大げさなようだが、コンピュータ、サーバ、PCなどの利用状況から、これは社会基盤の進歩の停滞にもつながりかねない問題なのだ。
もちろん、PC業界各社ともに事態の深刻さを認識しており、解決策を模索してはいる。しかし、発熱問題は根が深く多岐に及ぶため、簡単に解決できないものも多い。
CPUやその他のパーツは、発熱によってどんな問題が生じうるのか。その解決にあたって、どんな課題が横たわっているのか。そこで、いま一度考え直してみたい。
太陽の表面温度に近づくCPUの熱密度
CPUの高速化に伴い、その消費電力の上昇は危機的な段階にまで達している。具体的には、Pentium III/1A GHz版では29.9ワットだった最大消費電力が、Pentium 4/3.06GHz版では実に81.8ワットにも達している。
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Pentium4の最大消費電力
この消費電力の大半が熱に置き換わるため、CPUはまるでホットプレート並みの熱源と化してしまった。これをチップ表面の単位面積当たりの発熱量、いわゆる“Power Density”という単位でみれば、もっとすさまじい状況にあることが分かる。
[宇野俊夫, ITmedia]
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