News | 2003年6月6日 11:15 AM 更新 |
エンタープライズユーザーと業界アナリストはPalmのHandspring買収に関し、賢明な動きであり、合併後の新会社はモバイルおよびワイヤレス市場でMicrosoftや携帯電話メーカーといったライバルとの争いを優位に進めることができるとしている。
Palmは6月4日(米国時間)、Handspringを総額1億6900ドルにのぼる株式交換で買収すると発表した(6月4日記事参照)。
マサチューセッツ州チャールズタウンに本社を置く企業であるPHTの製品およびサービス担当執行副社長であるゲイル・ブラウダー氏は、Palm/Handspringの組み合わせにより、競争力が強化された「さらに大きなプレイヤー」になると話す。 PHTは、数千ものPalmデバイスをここ1年で購入し、製薬会社向けに同社が行っている臨床試験のサポートを行っている。
ブラウダー氏は、Palmの創設者でその後Handspringを創業するために退社したジェフ・ホーキンス氏がPalmに復帰したことで、彼がPalmを抜けた時の「頭脳流出」イメージを払拭することができると語る。ホーキンス氏は現在、Handspringの会長兼最高製品責任者で、合併後は最高技術責任者に就任する。
ブラウダー氏は、Handspringは営業をワイヤレス機能を備えたTreoハンドヘルドに絞っていたが、合併によりPalmの専門家がワイヤレスを組み込んだハンドヘルド機を作ることができるのではと期待する。PHTのような業務ではこのような機能は重要だとブラウダー氏は語る。
調査会社ARSのアナリストであるサム・バブナニ氏は、HandspringはPalmが痛ましいほど欠けているものを与えてくれると予想する。それは、米国の携帯電話会社との強力なパートナーシップだ。バブナニ氏によれば、HandspringはTreoを携帯電話のキャリア3社、Cingular Wireless(アトランタ)、Sprint PCS Group(カンザス州オーバーランド)、独Deutsche TelekomのT-Mobile事業部(ワシントン)に販売している。一方、PalmはAT&T Wireless Services(ワシントン州レドモンド)と販売およびマーケティングのパートナーシップを結んでいるだけだ。
Handspringがキャリアとの間に結んだ関係は、構築に時間がかかるもので、同社が新会社にもたらす最重要の無形資産だと、同氏は見ている。
Sprintの広報担当者であるダン・ウィルキンスキー氏はデバイスメーカーとキャリアとの関係は「絶対に不可欠」と言う。なぜなら、電話とハンドヘルドのベンダーは、製品を開発すればキャリアがそれを売ってくれるとは、もはや考えていないからだ。そのかわり、キャリアは、自社の戦略に「一体化し組み込まれた」製品を開発してくれるベンダーと協力しなければならない。ウィルキンスキー氏は、HandspringのTreoを「間違いなく、われわれにとっての勝ち組だ」と評する。
合併後の新会社はMicrosoftと戦っていけるだけの広範囲な製品ラインを提供できるだろうとバブナニ氏は分析する。特に、スマートフォンに関してMicrosoftは「少々遅れている」からだ。Treoは音声とデータを1つのデバイスに集約しているので、携帯電話ハンドセットのメーカーと競合できるので、新生Palmは、よい位置につけていることになる。Nokiaなどの携帯電話ハンドセットメーカーは、逆に、携帯電話にデータ機能を付加しようと躍起になっている。
IDCのアナリスト、アレックス・スロービー氏はPalm/Handspringの合併は、「ハンドヘルド業界がデバイス中心ではなくなったということ」を示しているという。業界は、逆にワイヤレス機能を提供できる会社に集約されつつあるという。
新会社は現在の2社が持ちえなかったスケールを獲得することになるが、MicrosoftはPocket PCなどの製品によりエンタープライズユーザーにはっきりとフォーカスしており、エンタープライズ市場については現在、リードを保っていると同氏は指摘する。
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