News 2003年6月6日 08:56 PM 更新

カノープス、“ありそうでなかった”PC内蔵型スキャンコンバータ

カノープスが、PCIスロットに搭載するスキャンコンバータ「SSC100」を発表した。スキャンコンバータ自体は以前からあるが、PC内蔵型は“ありそうでなかった”商品。すべての操作がマウスで行えるなど、PCでコントロールできるスキャンコンバータは、PCの楽しみ方を広げそうだ

 カノープスは6月6日、マウスでコントロール可能なPC内蔵型のスキャンコンバータ「SSC100」を発表した。7月上旬から発売する。価格は1万3800円。


PC内蔵型のスキャンコンバータ「SSC100」

 スキャンコンバータ(ダウンスキャンコンバータ)は、PC用モニタに出力するRGB信号を、家庭用TVに映すことのできるビデオ信号に変換する機器。手軽なプレゼンテーション用ツールとして使ったり、DVDソフトやPCで録画したTV番組、PCゲームなどを迫力ある大画面TVで楽しむことができる。

 PCの画面をTVに映したいというニーズは以前からあり、スキャンコンバータ自体は10年以上前から商品化されている。しかし、これまでのスキャンコンバータはPC周辺機器とは名ばかりで、PCの操作とは別にスキャンコンバータ側の操作を行う必要があった。

 「従来、スキャンコンバータの操作は、ユニット本体のボタンや付属リモコンでコントロールするなど非常に不便なものだった。必ずPCと一緒に使うものなのに、PC上で操作できる商品がこれまでなかった」(同社)。

 SSC100は、PCIスロットに搭載するPC内蔵型のスキャンコーバータ。拡大操作や画質調整といった機能操作が、すべてPCのマウスでコントロールできるようになっている。画質はコントラスト/明るさ/シャープネス/色の濃さ/フリッカーフィルタといった調整項目があり、オーバースキャン/アンダースキャンの切り替えや、テストパターンの表示、Ctrl+Lでショートカットメニューを表示させるとこができるショートカットキー設定といった機能を装備する。


画質調整(左)からショートカットキー(右)の設定まで、すべての操作がマウスで行える

 操作をPC側に任せたことから、PCならではのインテリジェント機能も備えた。見たいところをマウスでポイントすると「常にマウスを追従」「マウスが画面外に出ると次画面を表示」「マウスを画面端に持っていくと追尾しながらスクロール」という3パターンの追従モードを装備。また、ウインドウを自動判別するウインドウ選択機能を搭載。アプリケーションの任意のエリアのみを、TVに拡大表示して出力することが可能だ。

 「Windows Media Playerなどのウインドウ内の画面だけをTV画面いっぱいに拡大したり、PC側ではウインドウ表示しているDVD映像を、TV側では全画面表示するといった使い方ができる」(同社)。


PC側ではウインドウ表示しているDVD映像を、TV側では全画面表示できる。このTV OUT信号は、もちろんキャプチャーボードへの入力も可能……

 コントローラチップはメルコのスキャンコンバータ「“PCast”(SC-1)」と同じFOCUS Enhancements社製(FS401)を使用しており、入力解像度はVGA(640×480ピクセル)から最大UXGA(1600×1200ピクセル)まで対応する。

 SSC100の本体はPCIスロットに挿入するが、実はPCIスロットからは電源だけ供給され、PCとの接続/コントロールは内部カードの後方にあるUSB端子経由で行われる。つまりPC側からは、USBデバイスとして認識されるため、PCIのコンフィギュレーションといった初心者には難しい作業も必要ないというわけだ。


PCIスロットは電源供給のみ。PCとの接続/コントロールはUSB端子経由で行われる

“シンプルだから使いやすい”――新シリーズ「QUOSYS」の第一弾

 スキャンコンバータという機能に特化して使いやすさを追求したSSC100だが、高機能をうたう同社の製品群からは一線を画しているようにみえる。実は今回のSSC100は、“シンプルだから使いやすい”をコンセプトとした新ブランド「QUOSYS」シリーズの第一弾となる。

 「当社の製品群は高機能を求めるものが多かったが、当社製品のよさを分かってもらうために、高性能だがシンプルという製品シリーズを用意した。Video/Graphics/TV REC/TV OUT/etcという5カテゴリで製品を予定しており、今回のSSC100はTV OUTの商品。来月にも、QUOSYSシリーズで1機種を発表する予定」(同社)。


QUOSYSシリーズはVideo/Graphics/TV REC/TV OUT/etcという5カテゴリを予定

 つまり、同社の人気TVチューナーボード製品「MTVシリーズ」のシンプル機能版なども登場する可能性があるのだ。また、今回のSSC100は、電源をPCIスロットから供給しているが、発表会で紹介された試作機にはカード後方部にACアダプタ端子が用意されていた(ちなみに、製品版にはACアダプタ端子は装備されない)。


試作機にはACアダプタ端子も

 「スキャンコンバータは、外付けタイプも検討中。ACアダプタ端子がついた試作機は、すぐにでも外付け製品が可能なことを示している。USBバスパワーで動くかどうかは、楽しみにしていてください」(同社)。


PCIカード側の端子は、PC画面の信号が入るVGA入力(ミニD-Sub15ピン)と、TV側に出力するSビデオ出力(ミニDIN4ピン)のほか、なぜかSビデオ入力(ミニDIN4ピン)の端子も用意されている。

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[西坂真人, ITmedia]

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