News 2003年6月16日 06:13 PM 更新

もう迷子にならないワン!――ペット用「ココセコム」登場

セコムが、位置情報提供サービス「ココセコム」のペット向けサービスを発表した。ペットの歩行を妨げたり、端末をイタズラしないように、小型で軽量の専用端末を新たに開発。だが、鈴がわりに猫の首につけるには、まだサイズが大きいようだ。

 セコムは6月16日、位置情報提供サービス「ココセコム」のペット向けサービスを6月24日から開始すると発表した。「GPSを使ったペット向け位置情報提供サービスは国内で初の試み。われわれが知る限りでは、海外でも同様の事例はない」(同社)という。同日都内で、実際のペットでのデモンストレーションを含めた発表会が行われた。


セコムが6月24日から開始するペット向け位置情報提供サービス「ココセコム」

 「ココセコム」は、人物や車両を対象にした位置情報提供サービスとして2001年4月からサービスを開始。KDDIのcdmaOneにGPS機能を持たせた「gpsOne」を採用したココセコム専用端末を利用して、端末の位置情報を把握するとともに、契約者の依頼によって警備員を現場に派遣することができる(ココセコムの詳細は別記事を参照)。

 セコム開発センタージェネラルマネージャーの増田美智雄氏は、「自動車や二輪車の盗難防止に加え、はいかい高齢者や子供の迷子・誘拐事件防止など家族の行方不明に対応したサービスとして好評を得ており、全国で17万件を超える契約を獲得。事業としても順調に推移しており、現在では現金や貴金属を入れたバッグ、建設機械、金庫、ATMなどにまで契約対象が広がっている。その中で、ペット向けのココセコムを求めるユーザーが近年急増していた」と、ペット向けサービスの開発経緯を語る。

 ただし人や車両と違って、ペットを対象とした位置情報提供サービスには、さまざまな問題が発生する。そのなかでも、実用化の大きなネックとなるのが、専用端末のサイズだ。

 従来のココセコム端末のサイズは、117(縦)×43(横)×20.1(厚さ)ミリで重さが約60グラムと縦方向に大きく、ペットの体に取り付けた場合、歩行の妨げになったり、ペットが端末をイタズラしてしまう恐れがあった。そこで、小型軽量化を図った新端末を新たに開発。サイズを79(縦)×43(横)×18.2(厚さ)ミリ、重さ約48グラムとして、従来端末と比べて大きさを約40%減らし、手のひらサイズに収めた。「GPS通信端末としては、世界最小・最軽量となる」(増田氏)


従来端末(左)と、新開発のペット用端末(右)

 新端末の測位方式は、従来と同様にgpsOneを採用。小型軽量化を図りながらも、測位精度やバッテリー連続動作時間(最大240時間)など端末性能は従来モデルと同じスペックを確保している。「小型軽量化にあたってアンテナとバッテリーを小型で高性能なタイプに変更したほか、回路の集積度を上げるなど基板設計を全面的に見直した。開発はすべて自社で行い、製造だけ日立製作所に任せている」(同社開発センターチーフエンジニアの松本憲一氏)


2時間の充電で最大240時間の連続動作が可能


ペットに装着する際は、付属の防水パックに専用端末を入れるか、別売りのネックポーチ(4000円、写真)や防水ケース(2200円)に入れて、雨などの水濡れ対策を施す必要がある

 ペット用ココセコムの料金体系は、新規加入料金が5000円、月額基本料金は800円(専用端末のレンタル料を含む)、付属品セット(追加バッテリー×1、バッテリー充電器、ACアダプタ)。ペットの位置確認は、ココセコムオペレーションセンターに直接電話する方法(有料、1回200円)と、PCや携帯電話のインターネットブラウザを使う方法(毎月2回まで無料。3回目以降、1回100円)がある。


発表会場では、ペット用ココセコム端末を装着したラブラドールレトリバーのモモちゃんが、同社の周辺をお散歩するデモンストレーションも行われた


インターネットブラウザを使ってPCや携帯電話でペットの位置を確認できる

 「ココセコムの測位精度は、最高で5〜10メートル。オペレーションセンターには、詳細な住宅地図まで分かる500分の1スケールの地図が用意されている。一方、PCなどで検索する場合に使用される地図は、最大で1万分の1スケール。PCは気軽な確認方法として利用してもらい、より詳細な情報を知りたい場合は、電話要請が望ましい」(松本氏)

基本的には中・大型犬専用。猫も可能だが……

 “ペット向け”をうたう今回の新サービスだが、いくら専用端末が小さくなったとはいえ、48グラムの手のひらサイズもペットにとっては少々“荷が重い”。同社ではペットの種類や大きさの制限はしていないものの、近年ブームとなっているチワワなどの小型犬や、猫、鳥といった小型ペットへの装着は、あきらめたほうがよさそうだ。


手のひらサイズだが、基本的は中・大型犬用

 「獣医からの意見を聞く限りでは、推奨するペットは15〜20キロ以上の中・大型犬。猫はどうしてもダメというわけではないが、端末の重さよりも大きさがネックになるだろう。今回の新端末を子供用や高齢者用などに応用することも検討中。将来的には、小型タイプがココセコム端末の主流になっていくだろう」(松本氏)

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[西坂真人, ITmedia]

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