News 2003年6月20日 10:07 PM 更新

5GHz帯域無線LANめぐり欧米が対立

5GHz無線LANの屋外での利用をめぐり、欧米の利害が対立している。既に屋外での5GHz無線LAN利用が認可されている米国と屋外利用を制限したいヨーロッパの対立の溝を埋めるのは難しそうだ。

 スイスのジュネーブで開催されているWorld Radiocommunications Conference (WRC-03) に参加しているヨーロッパ代表団は、世界の無線LANにおける5GHz帯利用を屋内のみに制限したいと依然考えている、と米国WRC代表団長のジャニス・オブチョウスキー大使は述べた。

 米国は屋内でも屋外でもこの周波数帯域を利用したいと考えている。

 オブチョウスキー氏は19日、ジュネーブで電話による記者会見を開き、ヨーロッパ代表は地球センセー衛星への影響を理由に5250MHzから5350MHzまでの5GHz帯域の利用を屋内のみに制限することを主張していると述べた。同氏によれば、WRC委員会は今週末に意見調整のために5GHz帯の無線LAN動作に関する交渉を行うという。

 この交渉が難航した場合には、WRCは地域により異なるアプローチを取ることに決まるかもしれないとオブチョウスキー氏は述べる。米国は既に5GHz帯の屋外での利用を認めており、ヨーロッパではこれを屋内のみに制限している。同氏によれば2つの陣営には依然として「大きな相違」があるという。

 米国は立場を変える計画はないとオブチョウスキー氏。「後戻りはできない」と同氏は述べる。

 Farpoint Groupのアナリストであるクレイグ・マシアス氏は「世界中が同じ規格を使うというのはよい話ではあるが、大騒ぎすることではない。国際間のスペクトラム割り当ては違ったままだろう。これは政治であって、技術ではないのだ」と同氏。

 マシアス氏は、無線LAN機器はインテリジェントなものになってきているので、ユーザーは5GHz対応無線LANカードを使って世界中を旅しても、各国間のちょっとした違いは問題ないだろうと説明する。

 ただ、旅客機の乗客が利用するための、衛星が搬送するブロードバンドサービスの周波数割り当てである14GHzから14.5GHz帯域については、話し合いは「かなりうまく進んでいる」とオブチョウスキー氏は説明する。「このサービスについてはよい結果が期待できる」と同氏。

 このブロードバンドサービスはBoeingがConnexion by Boeingとして運用しているが、現在は実験的ライセンスのもとに操業している。

 関連した技術として、BoeingはすでにLufthansaを顧客とする契約を結んでおり、British Airwaysのニューヨーク-ロンドン間の一部フライトで3カ月間のデモンストレーションサービスを行う契約も獲得している。

 「これは、Connexion by Boeingを使った技術デモではなく、機内でのインターネット接続を利用するために喜んで料金を支払うかどうか、乗客の反応を見るためのものだ」とBritish Airwaysのブランドマーケティング担当上級マネジャーであるケビン・ジョージ氏は説明する。

 米国では次世代GPSナビゲーション衛星を高出力のものにする計画だが、その点についてのヨーロッパ側の懸念を払拭したとオブチョウスキー氏は述べている。

[Bob Brewin, IDG News Service]