News 2003年7月1日 04:24 PM 更新

DreamWorks新作アニメ「シンドバッド」はLinux製

CGスタジオのLinux採用が加速する中、大手映画会社DreamWorksは社内の全システムをLinuxベースに変更した。

 ブラッド・ピット、キャサリーン・ゼタ=ジョーンズ、ミシェル・ファイファーと、Linuxのマスコットであるタックス君が肩を並べている。

 ここに挙げたハリウッドスターはDreamWorksの最新アニメーション作品、「シンドバッド/七つの海の伝説」の声優を演じることになっているが、この映画はDreamWorksが初めてLinuxベースのハードウェアのみで作り上げた最初のアニメーション映画なのだ。

 7月2日に公開されるこの映画は、Red Hat Linuxを実行するHewlett-Packard(HP)製ワークステーションで制作された。

 DreamWorksがアニメーション映画制作にLinuxシステムを使い始めたのは数年前。低コストとプログラミングの自由度の高さといった要因で、このオープンソースOSは徐々に利用されるようになってきた。

 「これは最初から最後まで、どの部分をとっても100%、Linuxシステムで作り上げた最初の(DreamWorks製)映画だ」とHPのLinuxビジネス戦略担当者、マイク・バルマ氏は述べる。

 Linuxのデスクトップ/サーバシステムで最も魅力的な点はコストだ。一般的に、LinuxシステムはUNIXやWindowsベースのシステムよりも低価格。DreamWorksでは同程度の性能を持つUNIXシステムと比べた場合、Linuxシステムではおよそ25%低価格だと見積もっている。

 Linuxはオープンソースソフトウェアなので、容易に変更することが可能だ。DreamWorksはこれを活用し、必要に応じてソフトウェアを変更でき、例えばカラーキャリブレーションを変えることもできたとHPでは述べている。

 DreamWorksが映画制作に採用したLinuxシステムは、HP XW-8000デュアルプロセッサ・ワークステーションとHP ProLiantサーバだとバルマ氏。いずれもIntel製チップを搭載している。

 アーティストのほとんどはデュアルディスプレイのワークステーションを与えられており、より多くのウィンドウを開いて作業することができるという。これは非Linuxハードウェアでは高価すぎて実現が難しいことだったとHPでは述べている。

 DreamWorksは2001年にHPを「推薦テクノロジープロバイダー」に選定。DreamWorksがそれまで使用していたハードウェアはSilicon Graphics製ワークステーションで、OSは同社版UNIXのIrixが使われていた。

[Juan Carlos Perez , IDG News Service]