News 2003年7月3日 00:28 AM 更新

液晶 vs プラズマ――“薄型大画面TV”の本命はどちら?

フラットパネルディスプレイ市場で火花を散らしている「液晶TV」と「プラズマTV」。それぞれの分野で国内トップシェアを誇る「シャープ」と「日立製作所」のキーマンに、ニュートラルな立場の評論家を加えたパネルディスカッションが行われた。

 25〜50インチの中大型TVで、フラットパネルディスプレイ(FPD)へのシフトが急速に進んでいる。2000年12月に始まったBSデジタル放送や2002年7月に本放送が開始されたCS110度デジタル放送、そして今年12月にスタートする地上デジタル放送といった“放送のデジタル化”も、デジタル映像に強いFPDの普及を後押ししている。

 この“薄型大画面TV”市場で火花を散らしているのが、「液晶TV」と「プラズマTV」だ。それぞれの分野で国内トップシェアを誇る2社である「シャープ」と「日立製作所」のキーマンと、ニュートラルな立場の評論家をパネリストに迎えたパネルディスカッションが、7月2日から開催している「フラットパネルディスプレイ製造技術展」で行われた。

 ディスカッションに先立って、液晶TVの現状と展望について語ったシャープAVシステム事業本部液晶デジタルシステム事業部長の寺川雅嗣氏は「2005年には国内TV出荷の約半分がFPDとなる。その中で液晶TVは400万台に達し、国内TV出荷全体の35%は液晶TVで占める見込み」と述べ、2005年にFPDの7割を占める液晶TVが、薄型大画面TVの本命であるとアピールする。

 一方、プラズマTVの現状と将来展望を語った日立製作所ディジタルメディア事業部ブロードバンド機器本部長の山田健勇氏は「省電力性や明るい場所でのコントラスト比(明室コントラスト比)で有利な液晶TVは、これまでのCRTの置き換えとして普及していくだろう。だが液晶TVは、明るい部屋で気軽にTVを楽しむ“カジュアルリビング”向けで、30インチ以上の大画面では劇場感覚で臨場感を堪能できるプラズマTVが主流となる。プラズマと液晶は、サイズや用途で住み分けられる」と反論する。

 確かにこれまでは、液晶TVのラインアップは30インチ以下が中心で、それ以上の大画面ではプラズマTVという図式が市場では成り立っていた。住み分けのポイントは、やはり“価格”だ。

 20インチ以下では1万円/インチ前後までコストダウンが進んでいる液晶TVも、30インチ以上になると2万円/インチ以上。32〜50インチが1.2万〜1.5万円/インチ前後で購入できるプラズマTVには後塵を拝していた。

 ただし液晶ディスプレイも、第6〜第7世代サイズの大型ガラス基板生産が行える各液晶メーカーの新工場が稼動する2004〜2005年になれば、大幅なコストダウンが期待できる。シャープの例でも、2004年1月に稼動予定の亀山新工場では、生産できるマザーガラス基板サイズが640×880ミリから1500×1800ミリとなる。これを30インチパネルに換算すると、従来2枚しかとれなかったのが8枚に増える計算だ。

 液晶TVもプラズマTVも、普及のターニングポイントとなる目安の価格として「1インチ1万円」がある。この件についてシャープの寺川氏は「液晶TVの30〜37インチクラスでは、2005年までに1インチ1万円を達成したい」と述べ、日立製作所の山田氏も「来年には、30〜50インチのプラズマTVの平均価格を36万円前後にしたい」と語るなど、“1インチ1万円時代”が目の前に迫っている点を強調する。

 30インチ以上の大画面サイズでも、液晶とプラズマの価格差は少なくなる。そうなると、勝負の行方は性能面に移ってくる。

 AV評論家で日本画質学会副学会長の麻倉怜士氏は、「薄型大画面TVの画質評価は、解像度、S/N比、階調特性といったプリミティブな数値評価ではなく、情緒や情感といった“感性の映像”で評価するべき」と語り、“感性の映像”を阻害する要因が少ないFPDが、薄型大画面TVの本命になると主張する。

 「プラズマTVは、白トビや黒浮きなどの階調問題や擬似輪郭ノイズといった感動を阻害する要因があるものの、自発光で残像がないなど潜在能力は高い。一方、液晶TVは、コントラストや動画が貧弱で、感性の映像を映し出す“表現ディスプレイ”になるためには、相当頑張らなければならない。いずれにしても、数値上のスペックではなく、映像の質を語れるFPDになることが必要」(麻倉氏)

関連リンク
▼ フラットパネルディスプレイ製造技術展

[西坂真人, ITmedia]

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