News | 2003年7月9日 06:57 PM 更新 |
まず、完全保護構造の水素劣化防止技術「FEHB(Fully Encapsulated Hydrogen Barrier)技術」を開発。FeRAMの特性劣化を招く水素から、FeRAMセルを完全に分離した。
「従来の部分保護構造では、多層配線時に保護膜の隙間から水素が入り込んでFeRAMの劣化を招いていたが、独自のセル構造を用いたFEHB技術では保護膜がFeRAMを完全に覆うため、多層メタル配線による0.18μメートルの微細な製造プロセスが可能となった」(同社)
また、トランジスタのコンタクト上部に強誘電体キャパシタ部を設けて、メモリセル面積を従来比1/5に小型化した「スタック技術」と、1つのトランジスタと1つのキャパシタでメモリセルを構成した「1T1C技術」とを組み合わせた独自の微細セル技術「USEC(Ultra Small Embedded Cell)技術」を開発。同社のFeRAM従来製品に比べて、メモリセル面積を1/10にするなど飛躍的な小型化を可能にした。
さらに、従来の強誘電体材料には鉛(Pb)/ジルコン(Zr)/チタン(Ti)の酸化物からなる「PZT」が使われていたが、層状超格子の分子構造で薄膜化に強いストロンチウム(Sr)/ビスマス(Bi)/タンタル(Ta)の酸化物からなる強誘電体材料「SBT」を使った薄膜技術を開発。SBTの膜厚を100ナノメートル以下と薄くすることで、1.1ボルトという超低電圧動作 を可能にした。
FeRAM混載システムLSIで広がるモバイルの可能性
同社が開発した0.18μメートルFeRAM混載システムLSIは、同社の従来品に比べてチップサイズを1/5に小型化したほか、FeRAMの特徴である高速書き込み性能によって、書き込み時間もEEPROM搭載モデルに比べて1/5に高速化されている。
「たとえばICカードでは、高速化によって認証スピードが向上したり、大容量化によってセキュリティ機能の強化が可能になる。また、タイプA/B/Cと複数仕様が存在する非接触型ICカードに応用すれば、すべての方式に対応できるカードを作ることもできる。携帯電話やPDAに組み込めば、さまざまな通信方式に瞬時に対応し、適切な回路に変身する“リコンフィギュラブル”なモバイル機器も作り出せる。高速・低消費電力処理が行えるFeRAM混載システムLSIは、今後訪れる“真のユビキタス時代”に欠かせない中核技術となる」(同社)
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[西坂真人, ITmedia]
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