News 2003年7月25日 08:30 PM 更新

チャリティー“ブロッグ”マラソン、間もなく開催

今週末、肉体を使わずにブロッグを使うチャリティーマラソンが開催される。24時間、30分おきにブロッグを更新し続けるというイベントだ。参加者はいろいろと趣向を凝らしており、「救急病棟への突撃取材」や「霊能者と墓地から生中継」などの企画も。

 最もヘビーなブロッグユーザーは、ひたすらにキーボードをたたいて文章を打ち出すことなどお手の物だ。今週末、こうした強者ブロッガー500人が、自分の主義主張を披露したり、寄付の約束を集めたり、さまざまな博愛団体への寄付金を稼ぐため、丸一日ぶっ通しでブロッギングを行う。

 Webログ(しばしばブロッグと呼ばれる)は、頻繁に更新されるWebサイトで、ニュースや論評、写真など、作者がオンラインに掲載して誰かに読ませたいと思うコンテンツが載せられている。こうした情報サイトには、たいてい作者(「ブロッガー」と呼ばれる)の人となりが強く反映されている。Blogathon 2003には、こうしたブロッガーの多くが参加する予定だ。このイベントはチャリティーウォーク、チャリティーマラソン、チャリティー自転車レースのオタク版で、より技術的なことに頭を使い、あまり汗をかかないことが特徴だ。

 4年前、オレゴン州ポートランドに住むキャット・コナーさんはある夏の日の夕方、不眠症と1ケースのマウンテン・デューという危険な組み合わせと向かい合っていた。コナーさんはそのとき、丸一日Webライティングをしようと決めた。24時間ぶっ続けて、彼女は15分おきに自分のWebサイトFrytopia.comを更新した。

 「楽しかったわ。でも、どうしてなのかしらね?」とコナーさんは当時を振り返って語る。彼女は何かの企画を催そうと思っており、これは有望だと考えた。

 「その次の年はもっと意義のあることをしようと思ったの。私は走ったり自転車に乗ったりしないけれど、何かの企画を立てるのは得意だし、Webが大好きなの」(コナーさん)

 そこで誕生したのがBlogathonだ。このイベントが初めて大規模に行われたのは2001年、101人が参加し、合計で2万ドルの寄付金が集まった。今年は545人の参加者が登録しており、今のところ5万6000ドルが集まっている。太平洋時間で7月26日午前6時に、参加者は24時間のブロッギングを開始。少なくとも30分に1回自分のサイトを更新しなくてはならないルールになっている。読者は一律の寄付金を払うか、1時間おきに寄付の約束をすることで参加者のスポンサーになれる。後者の場合、読者は約束をした参加者がBlogathonを成功させたら、その参加者が指定したチャリティーに寄付金を払う。

 Blogathonを可能にしているのは、ブロッガーの間ではぐくまれている連帯感だ。ニュースや情報はブロッガーのサイトを通して急速に広がる。今年のBlogathon参加者の多くは、ブロッガー仲間を通じてこのイベントのことを知った。

 「このところ、オンラインジャーナルとWebログが私の主な情報源になっている――クールな最新情報、あるいは時間が経っていても面白い情報であれば、ブロッグから掘り出そうと思う」とジョージア州ジケータ在住のデータベース管理者兼ライター、ジェームズ・コスビーさん。今年初めてBlogathonに参加するコスビーさんは、Association for International Cancer Researchへの寄付金を集めようとしている。

 コスビーさんは13年前に姉を肝臓ガンで亡くし、母親が乳ガンと戦う姿を目の当たりにした(母親のガンはその後寛解している)。彼は友人のWebジャーナルでBlogathonのことを知り、参加を決心した。

 「ガン研究は母を救ってくれたし、姉を救おうと最大限の努力を尽くしてくれた。何かお返しがしたいんだ。残念なことに、私にはお金の余裕がない。だがたまたま24時間の時間が空いていた」(コスビーさん)

 Blogathonという形には、彼のオタク精神に訴えかけるものがあった。「私は完全にマウスポテト族(カウチポテト族のコンピュータ版)というわけではないが、私が肉体的な耐久力を競うイベントに参加して寄付を取り付けようとするのはリスクが高いと思う」

 24時間をどう過ごし、何を書くかというのがすべての参加者が抱えている問題だ。中にはクリエイティブな解決策を考え出した人もいる。コナーさんは、珍しいオンライン博物館にリンクを張って紹介コメントを書く計画だ。彼女は、短期的な支援を提供する組織Modest Needsへの寄付金を集める予定。コスビーさんは、友人のバンドにWebカメラの前で演奏するよう頼んでおり、そのライブ映像へのリンクを掲載するつもりだ。

 リビングルームを飛び出そうと考えている参加者もいる。あるブロッガーはカメラとワイヤレス機能付きのノートPCを持って、緊急病棟やニードルエクスチェンジ(ドラッグ使用者への清潔な注射針の支給)、貧困者のための給食施設、中東で死亡した平和活動家の追悼式などの現場をめぐる計画だ。別のブロッガーは、地元の霊能力者を招いて、墓地からWeb経由で映像をストリーミング放送する予定。この「霊視能力者の墓地案内」で予定されている活動については、Blogathonの公式サイトBlogathon.orgに説明が記載されている。

 コナーズさんによると、Blogathonの開催は年間を通したプロジェクトに成長しつつあり、コミュニティ構築機能に多くの作業が充てられているという。Blogathonでは毎回チャットルームが設けられるが、今年は参加者のブロッグを巡って、Blogathon読者に対して面白い展開を実況する監視チームが募集された。来年には、コナーズさんは世界中の参加者の位置を示した地図をオンラインに載せたい考えだ。

 Blogathonサイトのビジターに加え、ほとんどのブロッガーは熱心なファンにも応援してもらえるだろう。今年2度目の参加となるヒューストンのブロッガー、ローレンス・サイモンさんのブロッグ「Amish Tech Support」には、毎日およそ1500人の人がアクセスしている。彼は2人のブロッガーと組んで、イスラエルで救急医療と災害復旧サービスを提供するMagen David Adomへの寄付を集めようとしている。彼のチームは昨年、3500ドルの寄付金を集めた。今年の目標は6万ドル、Magen David Adomが新しい救急車を購入するのに十分な額だ。

 サイモンさんはこの目標達成には熱意を持っているが、彼の選んだ寄付金集めの方法は気軽なものだ。昨年、彼はパンの焼き方をレクチャーする映像をアップロードした。今年はパン焼き機でガーリック・パルメザン・プレッツェルを作る様子を放送する予定だ。

 彼は、昨年は30分おきに更新時間を知らせるタイマーを鳴らしていたが、今年はこれを取り外して、時々自力で起きるつもりだ。ほかにも、大学生が昔から徹夜のときに使う手段――カフェイン――に頼る参加者もいる。

 「1950年代のアンティークのパーコレーターを持っているんだ。これをずっと動かしておくつもりだ。パーコレーターにインタビューなんてしたりするかも」とコスビーさんは話している。

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[Stacy Cowley, IDG News Service]