News 2003年7月29日 07:43 PM 更新

512個のOpteronで「1テラFLOPS1億円」を実現する

ビジュアルテクノロジーの「技術本部長」に先ごろ就任した西和彦氏。「Crayのようなスパコンも出てきたが、今、Opteronのシステムに求められているのは、数ではなく“1CPUあたりのコスト”だ」と、製品発表会に同席したAMDと一緒にコストパフォーマンスの優位性をあらためて主張した。

 ビジュアルテクノロジーは7月29日、同志社大学に導入するOpteron512個を搭載したHPC「VT64 Opteron Cluster」を発表した。同志社大学では、このシステムをたんぱく質構造解析や、ディーゼルエンジンの最適燃料噴射設計などに使う予定。発表会では同社技術本部長の西和彦氏が製品説明を行ったほか、AMDの秋山一雄氏(CPGマーケティング本部 CPGプロダクトマーケティング部 部長代理)も出席し、Opteronの特徴について説明を行った。



ビジュアルテクノロジーの西和彦氏(上)とAMDの秋山一雄氏(下)。ビジュアルテクノロジーのOpteron表記に動作クロックが記述されていることについて「できればモデルナンバーだけを使って欲しいのだが……」と秋山氏が述べると、西氏は「Opteronの動作クロックがパフォーマンスを示すものでないことをすでにクライアントは知っている。知りたがっているのはパフォーマンスであり、それはベンチマークの値を提示している。ただし、動作クロックを知りたいユーザーもいるので、動作クロックを表記している」と説明した。

 ビジュアルテクノロジーは大学研究室や、公的研究機関を中心にHPCやサーバを納入しているハイエンドPC専業ベンダー。Opteronを採用した製品も積極的に取り組んでおり、AMDの発表に合わせて、ラックマウントサーバ「VT64 Opteron Server 2000/4000」やデスクトップワークステーション「VT64 Opteron Workstation 1000/2000をリリースしている。

 今回発表されたのは、一連のVT64 Opteronシリーズの派生モデル「VT64 Opteron Cluster」で最大構成となるもの。これまでの最大構成は80プロセッサであったが、一気に512プロセッサまで拡張した。


VT64 Opteron Cluster System 同志社大学 64プロセッサシステム。納入はこの64プロセッサシステム1セットごとに行われ、最終的に512プロセッサシステムが完成する。最初の納入は来週にも行われる予定


512プロセッサシステムの完成予想図。実際には現在VT-PC Claster Xiを運用している計算室で使われている筐体にノードが設置されるので、この予想図とは状況が異なる

 今回のシステムは、2プロセッサのOpteronに対応したTyanのマザーボード「S2880」にOpteron 244(動作クロック1.8GHz)を2基、メモリ2Gバイトを搭載して1ノードを構成、これを256ノード接続して512プロセッサシステムを実現する。S2880上のCPUはHyperTransportで接続され帯域6.4Gビット/sのデータ通信を行い、ノード間はギガビットイーサネットで接続される。

 これまでのVT64 Opteronシリーズは、頑丈で冷却機能を強化した筐体に組み込まれていたが、同志社大学への納入システムは、コストを可能な限り抑えるため、棚状のラックマウントにマザーボードを剥きだして据え付ける方式を取っている。既存の計算室への導入を前提とすることで冷却機構などを簡易化し、システム導入コストを削減している。

 実際の導入では、すでに同大学の計算室で稼動しているPentium III 256プロセッサシステム「VT-PC Claster Xi」の基板やCPUを「VT64 Opteron Cluster」にそっくりリプレースする。最初64プロセッサシステムが納入され、段階的にシステムを拡張していく。512プロセッサシステムの構築は8月末までに完了する予定だ。


ラックにそのまま設置された各ノード。S2880にOpteron 244を2基実装し、ギガビットイーサネットで接続される

 西氏によると、現在出来上がっている64プロセッサのシステムで148.7G(ギガ)FLOPSを達成しており、このペースで拡張すると、512プロセッサで1テラFLOPSを実現できるとしている。ちなみに、スーパーコンピュータのパフォーマンスランキングとして有名な「TOP500」2003年6月リストでは、1テラFLOPS発揮すると57位に相当する実力になる。「本来数10億円する1テラFLOPSクラスのシステムが、1億円程度で実現できる。これがVT64 Opteronシリーズのメリットだ」(西氏)

 ただし、ある程度CPUの数が増えるとパフォーマンスの向上が頭打ちになる可能性がある。今のところ512プロセッサまでは問題ないとしながらも、拡張していく段階でパフォーマンスをチェックしていく予定。問題が発生した場合にはノード間ネットワークを現在のギガビットイーサネットから、10ギガビットイーサネットなどのより高速な方式に変更する可能性もあるとしている。

 今回、Opteron 200シリーズを採用してクラスタを構成した理由として、ビジュアルテクノロジーの川股敦氏(取締役営業副本部長)は「コストパフォーマンスのバランスが最も取れているため」と説明。西氏は「2003年は2wayのOpteronを使ってビジネスを展開していくが、2004年は4way、8wayのOpteronを使っていく」とOpteron 800シリーズの採用は来年以降になる見通しを明らかにした。

 4月に行われたVT64 Opteronシリーズの発表会で言及した「複数のマザーボードでSMPを構成する」製品は現在も開発を継続中。当初「Opteron 800シリーズの登場に間に合わせる予定」となっていたが、本日の発表会では「今年中に量産が可能になる」(西氏)と説明があった。

 VT64 Opteron Clusterには現在「クライアントの要望で」(西氏)Turbolinux 8 for AMD64が導入されている。ビジュアルテクノロジーは現在64プロセッサシステムで、Windows Server 2003とのパフォーマンス比較の検証作業を実施しており、その結果を秋に公開する予定にしている。

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[長浜和也, ITmedia]

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