News 2003年8月19日 01:35 PM 更新

「三目並べ」で人間を打ち負かすDNAプレイヤー

DNAコンピュータへの足がかりとなるシステムが米国の2人の科学者により開発された。このシステムは「三目並べ」で人間を打ち負かす。

 2人の米国人科学者が、「三目並べ」(tic-tac-toe)ゲームをプレイできるDNAベースシステムを作り上げた。このシステムは三目並べで負けることはない。その詳細がNature Biotechnology誌で公開された。

 このインタラクティブシステムはMayaと呼ばれ、三目並べの升目を表す9個の容器があり、その中には23個の分子ロジックゲートを作り上げている酵素の混合物が含まれている。

 人間のプレイヤーは9個の異なるDNAストランドを持ち、そのそれぞれが三目並べの盤の升目の一つに対応する。プレイヤーがある升目を選択すると、その升目に対応したDNAストランドが9個の容器に追加されていく。Mayaシステムは9個の升目で起きている生化学反応を通して分析を行う。

 酵素ロジックゲートは慎重に構成されているため、それぞれの人間側の動きは1個の容器の中の酵素を解除する。Mayaで選択された動きは、酵素混合物が分離されるとき点滅する容器中の蛍光で表される。人間側が別の入力をするとMayaが答え、ゲームは進行する。

 従来のコンピュータ三目並べシステムと同様に、Mayaは完全な戦略を取れる程度の複雑さは備えており、打ち負かすことはできないと、コロンビア大学のミラン・ストジャノビック氏とニューメキシコ大学のダーコ・ステファノビック氏は説明する。

 MayaシステムはDNAコンピューティング分野の一例である。DNAコンピューティングはシリコン上の電子の動きではなく分子の生化学反応によってロジックシステムを組み立てる。DNAコンピューティングは通常のコンピュータに適さないような数学的に複雑な問題を解く可能性があると言われている。

[David Legard, IDG News Service]