News 2003年8月21日 10:37 PM 更新

高画質技術を結集した「PEAKS」搭載――松下、プラズマ/液晶TV「VIERA」

松下電器産業が、フラットパネルTVの新シリーズ「VIERA」を発表。メインとなる50V/42V/37V型プラズマTV「PX20シリーズ」と、32V/26V/22V型液晶TV「LX20シリーズ」には、同社の高画質化技術を結集した新システム「PEAKS」を搭載した。

 松下電器産業は8月21日、フラットパネルTVの新シリーズ「VIERA」を発表した。プラズマTV3機種と液晶TV10機種が新たにラインアップされる。プラズマTVは9月1日から順次、液晶TVは9月15日からそれぞれ発売する。価格は最上位機種の50V型プラズマTV「TH-50PX20」(110万円)以外は全機種オープン価格。


大画面フラットパネルTVの新シリーズ「VIERA」


 今回の新製品でメインとなるのは、50V/42V/37V型と大画面サイズを揃えたプラズマTV「PX20シリーズ」と、32V/26V/22V型など大画面ワイドタイプの液晶TV「LX20シリーズ」だ。PX20/LX20シリーズともに、今年末に放送が開始される地上デジタルを始め、BSデジタル、110度CSデジタルなどすべてのデジタル放送チューナーとアナログ地上波チューナーが、薄型ボディに一体化されて搭載している。


地上/BS/110度CSデジタル、アナログなどすべてのチューナーを薄型ボディに内蔵している

 PX20/LX20シリーズは高画質システムとして、新開発の「PEAKS(Picture Enhancement Accelerator with Kinetic System)」システムを搭載した。これは、同社がこれまで開発してきた映像/デジタル/デバイスの高画質化技術を結集させたもので、プログレッシブ対応ハイビジョンパネル「PEAKSパネル」と、ディスプレイの特性に合わせて最適な映像表示処理を行う「PEAKSドライバー」、すべての映像信号をフルデジタル処理する「PEAKSプロセッサー」と、3つのコア技術で構成される。

 「プラズマTVでは10億7000万色を表現する『アドバンスドリアルガンマ』、黒色の再現性を高める『リアルブラッククリエーション』、画像の鮮鋭感を向上させる『二次元エンハンサ』など、液晶TVではハイコントラスト・高輝度な映像を作り出す『アドバンスド液晶AI』、動きの速い映像を見やすくする『デジタル・オーバードライブ』など、同社映像製品で実績のある高画質技術を1システムに結集したのがPEAKS」(同社)


サイドから見たデザインは、プラズマTV「PX20シリーズ」が“Sフォルム”、液晶TV「LX20シリーズ」が“Jフォルム”

 また、全機種に搭載されたPEAKSパネルには、プログレッシブ表示の高精細ハイビジョンパネルを採用している。なかでも注目は、37V型のプラズマTV「TH-37PX20」。日本家屋のリビング向けとしてちょうどいい大きさとなる37V型は、プラズマTVのボリュームゾーンとして各社が力を入れている画面サイズだが、40インチ以上の大画面サイズは得意とするプラズマTVも、30インチ台になるとセルサイズが小さくなるため高精細化が難しいという問題があった。そのため、従来の同社37V型の画面画素数は852×480ピクセルどまりで、ハイビジョンには対応していなかった。


プログレッシブ表示の高精細ハイビジョンパネルを採用した37V型のプラズマTV「TH-37PX20」

 他社では、日立製作所のWOOOシリーズなどALISパネル採用のプラズマTVが、32V/37V型でハイビジョンに対応しているが、ALISパネルはインターレース表示。ちらつきのない高画質表示が行えるプログレッシブ表示でハイビジョンに対応した37V型はこれまでなかったのだ。「37V型のプログレッシブハイビジョンプラズマパネルは、今回が世界初の採用」(同社)

 そのほか、地上/BS/110度CSなど各デジタル放送と地上アナログ放送すべての番組に対応したEPG「NEWテレビ番組ガイド」や、生活情報ネットワークサービス「Tナビ」に対応したほか、SDメモリーカードとPCカードのダブルスロットを本体前面に備えている(液晶TVの22V型「TH-22LX20」はSDメモリーカードスロットのみ)。


SDメモリーカードとPCカードのダブルスロットを本体前面に装備

 最上位機種の50V型プラズマTV「TH-50PX20」(110万円)以外は全てオープン価格となっているが、実売はプラズマTVの42V型「TH-42PX20」が75万円前後、同37V型「TH-37PX20」が65万円前後、液晶TVの32V型「TH-32LX20」が55万円前後、同26V型「TH-26LX20」が45万円前後、同22V型「TH-22LX20」が35万円前後となる見込み。


ボタン数を減らして使い勝手を良くしたNEWパワーリモコン

 同社専務でパナソニックAVCネットワークス社社長の大坪文雄氏は「AVCネットワークス社の根幹をなすのがSD/DVD/DTVの三つの“D”からなる“3Dバリューチェーン”。TVを取り巻く環境が変化し、放送と通信の融合が始まっているが、事業運営のベースとなるDTVのキーワードが“薄型&デジタル”。海外・国内ともにTVの薄型化が加速している。 また、今年12月から始まる地上デジタルによって、すべての放送はデジタル化していく。フラットパネルTVでは、32/37インチを境に32インチ以下は液晶、37インチ以上はプラズマと住み分けていく。だがユーザーには、デバイスを意識させずに高画質の薄型TVを選んでもらいたい。そのために、新製品ではすべての最先端技術を1台に凝縮した。フラットパネルTV市場で世界シェア30%を狙う」と、同社のフラットパネルTVの事業戦略を語った。


パナソニックAVCネットワークス社社長の大坪文雄氏


4:3画面の液晶TV“VIERA”「LBシリーズ」は20V型3機種、17V型3機種、14V型1機種の計7機種がラインアップ。実売はシリーズ最上位機種の20V型「TH-20LB15」が18万円前後、もっとも安い14V型「TH-14LB1」が7万5000円前後


今年は、1953年にTVの本放送が開始されてから50年という節目の年にあたる。新製品会場ロビーには、50年の歴史を物語る同社のTV製品群が一同に展示された

関連記事
▼ 松下、新ブランドの地上デジタル対応デジタルTVを発表

関連リンク
▼ 松下電器産業
▼ VIERAサイト

[西坂真人, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.