News | 2003年8月25日 02:05 PM 更新 |
Microsoftの無料電子メールクライアントソフト「Outlook Express」は葬り去られたわけではない――。同ソフトの将来を危ぶむ観測を払拭しようと、米Microsoftが8月21日、そう明言した。
MicrosoftのWindows担当シニアプロダクトマネジャー、マット・ピラ氏は、それまでの1週間以上にわたって複数のMicrosoft関係者の口から出た、それぞれに矛盾する発言をとりまとめる形で、「これまでにOutlook Expressを改良・強化する作業が中止されたことは決してない」と語った。
事の発端は、MicrosoftのOffice担当リードプロダクトマネジャー、ダン・リーチ氏がオーストラリアで先々週、「MicrosoftはOutlook Expressの開発を中止した。代わりにコンシューマー向けの電子メールとしてMSNとHoamailに注力していく」と語ったことにある。Microsoftの広報代理店もこの発言を確認した。
だがその2日後、同代理店のMicrosoft Windows部門広報担当者が、リーチ氏の発言は「不正確だった」と電子メールで釈明。Microsoftは実際、どこかの時点でOutlook Expressの開発を中止して「維持作業モード」に移ったが、その後、顧客からの要望を受けてこの決定を覆したのだと説明し直した。
Outlook Expressの状態がこのように覆ったことが、リーチ氏の耳には届いていなかったようだと同広報担当は説明、「Microsoftは社内で知られたこの変更のプロセスの中にある」とした。しかし、同日午後、この広報担当は新たに「正確なステートメント」なるものを発行。ここでは、Outlook Expressの開発が一時中止されたというくだりが削除された。
ピラ氏は21日、この最後のステートメントを再確認、「私の知る限り、Outlook Expressが維持作業モードに入ったことはない」と語った。
Enderle Groupの主席アナリスト、ロブ・エンダール氏によると、製品が「維持作業モードに入る」というのは、基本的に、その製品は終わったということを意味する。「誰もそうは言わなかったとしても、それは死を意味する」と同氏。
MicrosoftはOutlook ExpressをWindowsの一部として出荷。これまで、WebブラウザのInternet Explorer(IE)と共にアップデート版を提供している。この製品はホームユーザーをターゲットに置いており、企業向けには、Officeスイートの一部として、より機能の充実したOutlookクライアントが提供されている。
エンダール氏は以前から、MicrosoftはいずれOutlook Expressの開発を中止することになると予想してきた。だが多くのワームやウイルスの標的になってはいても、この製品を見限るのは難しい選択のようだ。
エンダール氏は次のように語っている。「Microsoftになぜ2種類の電子メールクライアントソフトが必要なのか私には理解し難い。Outlook Expressは戦略的でない重複製品だ。一方のOutlookは、金を稼いでおり、Exchangeなど他の製品とも結びついている。作業を一つのメールクライアントソフトに集中させれば研究開発費も浮くだろうに」
[Joris Everts, IDG News Service]