News 2003年8月27日 09:42 AM 更新

パーツベンダーに聞く2003年後半の一手その1「GIGABYTE編」

今年前半はIntel 875PやIntel 865PE/Gといった新世代チップセットの登場など、購買欲をかきたてる新技術が次々と登場したおかげで勢いがあったマザーボード市場。Athlon 64を控えた今年後半の作戦をパーツベンダーのトップに聞くシリーズの第一弾は高機能路線を突き進む日本ギガバイトだ

 今年の春にインタビューしたときに「GIGABYTEは高品質な製品でなければならない」と力説していた日本ギガバイト社長の林宏宇氏。その方針は今年後半に向けても維持していくつもりらしい。

 GIGABYTEが、価格競争に突入することなく、あくまでも品質で勝負していく根拠は、毎週(毎日?)アキバのパーツ街に自ら通って観察した「今どきの自作PCのユーザー気質」にある。

 もともとは、メーカー製よりも安くPCを入手する手段として広がってきた自作PCの市場だが、ショップブランドPCや低価格BTOによって価格的アドバンテージを自作PCが失ってから久しい。

 絶対的に安価でなくなった現在、ユーザーは「自分好みのPC」を作るためにパーツを買い集めている。とくに、最近のメーカー製PCがスモールフォームファクター(SFF)中心となってしまい、その小さな筐体にハイスペックなパーツを搭載できなくなってからは、ユーザーは高性能なPCを作るために自作PCを選択する傾向があると、GIGABYTEは分析している。

 このように、単純な低価格競争に陥ることなく、GIGABYTEが主張する「品質重視」が日本の自作PCユーザーに受け入れられると考えている林氏だが、一方で「自作PC市場は横ばい、もしくは減少傾向にある」と非常に厳しい見方をしている。

 減少傾向にあるパーツ市場にあって、GIGABYTEは「多種製品を短期間で次々に投入していく」作戦を取ろうとしている。その第一弾として、9月には現在Intel 875P搭載マザーでは最も人気のある多機能ラインアップ「GA-8KNXP」からDPS(Dual Power System)を省略した「GA-8I875 Ultra」を、またエントリーバージョンの「GA-8IK1100」にギガビットイーサ機能を追加した「GA-8I875」を投入していく予定になっている。

 これ以外でも、Intel 865G/PEを搭載したメインストリームラインアップで、「GT Edition」といった新しいシリーズを投入する。すでにGIGABYTEから発表されているように、GT EditionにはCPUスピードコントローラと呼ばれる「C.I.A」とメモリバスアクセラレーション機能である「M.I.B」と呼ばれる機能が盛り込まれる。

 また、Intel 865PEを搭載する「GA-8IPE1000 Pro2」「GA-8IPE1000/L Rev. 2.0」は、予想実売価格が1万3000円前後と、先週登場したFSB 800MHzサポートながらメモリバスがシングルチャネルのIntel 848P搭載マザー並の価格を設定しているのも大きな特徴。


GA-8IPE1000/L Rev.2.0


GT Editionのパッケージはスピードをイメージさせる「赤いスポーツカー」がメインビジュアルになっている

 このように、Intel 875P、Intel 865G/PE以降、新製品の登場が一段落するインテル系マザーボードに細かい改良を加えていくことで、多種多様なラインアップをそろえていくのがGIGABTEの今年後半の方針だ。

 もちろん、SiSやVIAからもこれから新しいチップセットは登場するし、そのチップセットを搭載したマザーボードもGIGABYTEから発売する予定になっている。しかし、これらサードパーティ製チップセットの現状についても、林氏は厳しい見方をしている。

 もともと、VIAやSiSが自作ユーザーに支持されてきた理由が、スペック的に進んだ製品をいち早く投入する先進性と、同スペックのチップセットを搭載したマザーボードならより安価に購入できる、コストパフォーマンスにあった。

 しかし、最近はメモリバスのデュアルチャネルなどスペックでインテルに遅れをとり、価格的優位性もインテル搭載マザーボードが安価に入手できる今となってはそれほど絶対的とはいえなくなっている。

 その中で、林氏が期待するのがSiS 655 FXとSiS 964の組み合わせ。SiS 655FXはFSB 800MHzに対応しメモリバスはDDR 400のデュアルチャネルをサポートするノースブリッジで、ようやくインテルのチップセットにスペックが追いつくことになる。

 さて、今年後半のマザーボードにとって最も大きな動きとなりそうなのが、まもなく登場すると言われている「Athlon 64」だ。当然GIGABYTEとしても、マザーボード購入の大きな動機付けになることを期待しており、すでにイベントなどでは、K8T800搭載マザーやnForce3 150搭載マザーを公開している。

 今年後半はAthlon 64で安泰か?と思いきや、「確かにマザーボードビジネスの大きなトリガーにしたいのだが、そのためにはAthlon 64が順調に、かつ大量に供給されなければならない」とこちらもなかなか厳しい予測をしている林氏だ。


Athlon 64に対応したnForce3 150を搭載したGA-K8VNXP

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[長浜和也, ITmedia]

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