News 2003年9月4日 04:12 PM 更新

犬型復活!ホネをくわえる新AIBO

ソニーマーケティングが、エンターテインメントロボット“AIBO”のニューモデル「ERS-7」を発表。初代AIBOと同じ“正統派”の犬型ロボットスタイルが復活した。高度な画像認識や新センサー、“LEDの顔”など、コミュニケーション機能が大幅に向上している。

 正統派「犬型」AIBOが帰ってきた。

 ソニーマーケティングは9月4日、エンターテインメントロボット“AIBO”のニューモデル「ERS-7」を発表した。11月初旬から出荷を開始する。価格は18万5000円。


正統派「犬型」で帰ってきたニューAIBO「ERS-7」

 1999年5月にデビューした初代AIBOERS-110シリーズのインパクトが大きかったためか「AIBO=犬」というイメージが強い。

 だが2代目以降を見ると、2000年10月に登場したERS-210シリーズは猫科の“仔ライオン”、2001年9月のラッテ&マカロン(ERS-310シリーズ)は小熊のヌイグルミをモチーフにした“クマイヌ”、2001年11月のマクロスチックなERS-220シリーズは“バルキリー”、AIBO史上初めて「顔が怖い」といわれた2002年5月のERS-31Lは“パグ犬”……。

 とにかく「“正統派”の犬型ロボットは初代AIBOだけだった」と、犬好きな筆者は断言したい。ERS-7は、そんな筆者も待ち望んでいた正統派の“たれ耳イヌ”だ。


ERS-7(左)と歴代AIBOの雄姿

イメージは“ASIMO犬”?

 とはいえ、初代の面影を残すのはアタマの部分ぐらいで、ボディは丸みを帯びたグラマラススタイルになった。ただし“丸い”といってもラッテ&マカロンのそれではなく、近年のロボットデザインを流れを汲んだ滑らかなボディ形状のこと。例えると同社の2足歩行ロボットSDR-4Xというよりも、本田技研工業「ASIMO」のイヌ版といった感じ。カラーリングやくびれたウエストに注目すると、綜合警備保障の警備ロボット「C4」にも通じるものがある。


 モーションコンテンツも従来機種から一新。脚部と胴体部が一体になった滑らかなボディラインに合わせて、動きも生命体に近い自然なものになっている。これは新開発「サイレントサーボシステム」の効果で、滑らかな動きのほか静粛性も従来機種より大幅に向上している。

 ミラーコーティングされた頭部には、4色に光る多階層表現LEDが計28個内蔵されている。「イリュームフェイス」と呼ばれる“LEDの顔”が、光の色とカタチで喜びや悲しみなどAIBOの感情を、流れるようなアニメーションで表現するのだ。


頭部には4色に光る多階層表現LEDが計28個内蔵

 AIBOはオーナーが触ることで、さまざまな感情表現を行っていたが、従来モデルは圧電センサーを使っていたためやや反応が鈍く、触り具合の認識にも限界があった。新AIBOには、アタマと背中に新開発のタッチセンサーを採用。軽く“なでる”だけでも反応し、オーナーの触り方の微妙な違いも認識できるようになった。また、胸の部分に「胸距離センサー」を新たに追加。足元の段差や障害物の感知機能が大幅に向上した。


机の端を胸距離センサーで感知する新AIBO。のぞきこんで調べている姿がかわいらしい

 AIBOの“目”には35万画素に高解像度化されたCMOSセンサーを採用。従来モデル同様にカメラとしても機能する。今回の新AIBOでは、画像認識能力が大幅に向上。新しく搭載された「ビジュアルパターン認識」機能によって、付属のAIBOカードに描かれたビジュアルパターンを理解し、カードを見せるだけで「ダンス」や「写真撮影」など自発的に行動する。


付属のAIBOカード(上)とカードに描かれた図形を認識している新AIBO(下)


今度のAIBOは、ホネをくわえて遊ぶ!

 AIBOシリーズには初代モデルから“ピンクボール”がオモチャとして与えられていたが、ERS-7には新しいオモチャが与えられた。


 「AIBOne(アイボーン)」と名づけられた新AIBO用オモチャは、犬が大好き?な「骨」をモチーフにしたもの。ERS-7は口でモノをはさめるようになっており、高性能化されたCMOSセンサーの目と画像認識能力によってAIBOneの位置や置かれた状態を認識。それに合わせて体を移動させて骨をくわえたり、クルクル回して遊んだりするのだ。


AIBOne(アイボーン)を口にくわえたところ。ERS-7は口でモノをはさめるようになっている。

 付属の専用AIBO-ware「AIBOマインド」は、オーナーとのコミュニケーションや生活環境からさまざまな情報を集めて学習し、自らの判断で自立行動するなど個性的に成長していく。2004年春以降に予定されているAIBOマインドのバージョンアップにより、経験値やオーナー情報などAIBOの記憶を継承しながた機能拡張も可能になるという。

 また従来、追加AIBO-wareとして別売りアプリケーションだったオーナー認識・自己充電機能「おりこうAIBO」や、電子メールでAIBOを操作できる「AIBOアイズ」を1つのアプリケーションにしてAIBOマインドに集約。特に自己充電機能は、ステーションポールに描かれているビジュアルパターンを画像認識してエナジーステーションとの位置関係を判断できるようになり、従来モデルにくらべてスピーディーに自己充電ができるようになった。ERS-7には、新型のエナジーステーションが標準で同梱される。


新型エナジーステーションにまたがった自己充電スタイルのERS-7

 2.4GHz帯(IEEE802.11b準拠)ワイヤレスLAN機能を標準で搭載。PCなど各種ネットワーク機器とワイヤレスでデータのやり取りが行える。また、音楽を奏でる内蔵音源には64和音のMIDI音源ICを採用。ボディのスピーカーも低音域に強いバスレフスピーカーを内蔵し、「ただ音楽を鳴らす」従来型AIBOから「音楽を聴かせる」AIBOに成長している。

 ERS-7の発売を記念して、実機を体感できるデビューイベント「AIBO EXPO '03 〜新生AIBOデビュー〜』を東京(銀座ソニービル8階「ソミドホール」)と大阪(心斎橋ソニータワー3階)で9月27、28日(午前11時〜午後7時)に行われる。なお、AIBOオーナー向けには、9月26日(午後5時〜午後8時)に先行して開催される。

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[西坂真人, ITmedia]

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