News 2003年9月17日 11:59 PM 更新

東芝が3D液晶ディスプレイ――「シャープとは、ちょっと違います」

東芝が、新方式の3D液晶ディスプレイをWPC EXPOで参考出展。搭載ノートPCを発表するなど3D液晶ディスプレイで先行するシャープ方式とは異なり、広い範囲で奥行き感のある自然な3D映像が得られるというその新技術とは?

 WPC EXPO 2003の東芝ブースで、従来の3Dディスプレイ方式に比べてより自然な立体感が得られる新方式を採用した3D液晶ディスプレイを参考出展している。


新方式の3D液晶ディスプレイを参考出展

 同分野では、シャープが先日9月11日に3D液晶ディスプレイ搭載ノートPCを発表しているが、シャープが左右の眼の視差分(2視差)で立体視を行う「視差バリア方式」なのに対して、東芝は視差数を最大32まで増やした「インテグラルイメージング方式」を採用。3D表示による違和感や疲労感が少なく、より自然な立体視が可能になったという。当然、シャープ方式と同様に特別なメガネなどは必要ない。


視差数を増やして自然な立体視を可能にした「インテグラルイメージング方式」を採用

 視差数が少ないシャープ方式の場合、3D表示が可能な視聴範囲が狭かったり、見る位置で3D映像が不自然に切り換わるといった問題があった。最大32視差の東芝方式ならば、広い範囲で奥行き感のある自然な3D映像が得られ、「回り込んで見る」「見る位置をずらして隠れている部分を見る」といったことも可能になる。

 「視差数を多くして自然な立体感を表現する方法は、立体写真の世界では昔からある一般的な3D表示技術。この方式を写真ではなく電子ディスプレイに応用した場合、視差数を増やすと解像度が劣化しやすいという問題があった。今回、RGB画素配列を工夫するなど独自技術を用いることで、高精細ながら視差数を増やすことに成功した」(同社)

 ブースでは、32視差の20.8インチ液晶ディスプレイ(300×800ピクセル、160カンデラ/平方メートル)が1枚と、18視差の15.4インチ液晶ディスプレイ(300×400ピクセル、150カンデラ/平方メートル)が2枚の計2種類3枚のディスプレイを展示して、20.8インチパネルは静止画で高精細な3D表示を実施。15.4インチパネルでは3D動画再生のほか、マウス操作で3D映像を動かせるリアルタイム3D表示のデモンストレーションが行われていた。


15.4インチでは、3D動画再生(左)とリアルタイム3D表示(右)のデモンストレーションを実施。20.4インチ(中央)は、静止画で高精細な3D表示を行っていた

 15.4インチ(18視差)タイプを製品化した場合、当初のパネル価格は10万円前後になるという。

 「価格は量産によってコストダウンも十分可能。2004年度の製品化を目指しており、当面は広告用ディスプレイなど特殊業務用途向けに展開していく予定。3Dコンテンツ開発ソフトウェアも同時に開発しており、既存の2D表示CGなどを3Dコンテンツとして表示可能になる。将来的には、ノートPCや家庭用TVなどコンシューマ機器向けにも応用を広げていく」(同社)

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[西坂真人, ITmedia]

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