News 2003年9月22日 05:50 PM 更新

北朝鮮の携帯電話エリア、国内全域に広がる

北朝鮮の携帯電話サービスは……GSMである。謎に包まれた「北」のコミュニケーションインフラの一部が明らかになった。

 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の携帯電話ネットワークは今年初めに首都の平壌で立ち上がったばかりだが、最近公表されたいくつかのレポートによれば、全国の主要都市にまでエリアを広げたもようだ。

 9月初めに書かれた韓国・中央日報紙の記事によれば、拡大された携帯ネットワークは、いくつかの主要都市に加え、平壌から香山、開城、そして元山から咸興までカバーしているという。この記事では北朝鮮の朝鮮中央放送(KCBS)からの情報が引用されていた。

 北朝鮮のネットワークを構築するために設置された基地局は合計40であると韓国の通信社であるYonhapは、北朝鮮の労働新聞の記事を引用し、報じている。

 アジアで最も閉鎖的で秘密に包まれた国であり、最貧国の一つでもある北朝鮮の最初の携帯電話サービスは今年初め、平壌と、北朝鮮と中国、ロシアとの国境に位置する羅津・先鋒経済貿易地帯で開始された。

 このネットワークはタイのLoxley Pacificと北朝鮮Korea Post and Telecommunicationsの合弁会社であるNortheast Asia Telephone and Telecommunications(NEAT&T)により構築された。

 NEAT&Tは北朝鮮側の貿易地帯で電話サービスを提供する27年分の契約を結んでおり、国内の携帯電話、そして国際電話サービスの独占権を有するとされる。ただし、この2点については意見が分かれている。Loxley Pacificは情報をあまり公開しない会社で、契約の詳細についてプレスには答えていない。

 このネットワークは近接する中国やロシアと同じく、世界の大半で使われているGSM (Global System for Mobile Communications) を使っている。韓国で独占的に使われているCDMA (Code Division Multiple Access) 方式は採用されなかった。

 携帯電話は北朝鮮の国民には広く利用できる状態になく、多くは固定電話すらない状態であり、このネットワークは政府関係者専用だとのレポートもある。同様に、インターネットアクセスも北朝鮮では困難で、インターネット接続はごくわずかで、それも隣国の中国を経由したものと考えられている。

 北朝鮮政府は国民の活動に目を光らせており、ささいな法律違反でも罰を受ける。携帯電話やインターネットのようなコミュニケーションツールが広く利用されるようになれば、政府による国民統制能力が低下する可能性がある。

[Martyn Williams, IDG News Service]