News | 2003年10月2日 09:31 PM 更新 |
Web検索ポータルサイト「goo」と「Google」が、Web検索に関する技術協力と広告販売で提携を結んだことを10月2日に発表した。gooはGoogleの検索エンジンを利用したWeb検索サービスを12月1日から提供する予定だ。
今回の提携で両社が目指すのは「日本語で最も検索しやすいエンジンの実現」。Googleはgooが長年かけて開発してきた日本語検索に関する技術とノウハウを期待し、gooはGoogleが全世界から収集してくる膨大なWeb検索データベースを利用することで、検索精度の向上を期待している。
検索エンジンで目的のデータを表示する処理は、大まかに以下のような流れになっている。
検索エンジンの構造は、入力されたキーワードから検索式を作成し、検索されたレコードを評価して表示する「フロントエンド」と、フロントエンドから渡された検索式を使って実際にデータベースから検索を行う「バックエンド」の部分に大きく分けられる。
バックエンドで利用する検索データベースには、ロボットプログラムを使って世界中のWebサイトから収集してきたインデックスが蓄積される。このロボットを使った収集技術もバックエンドエンジンの重要な要素だ。
今回の提携によって、gooはフロントエンドの機能をカバーし、Googleが構築しているバックエンドを利用することになる。
このように、Googleの検索エンジンを利用するポータルサイトが最近増えてきているが、これらのサイトとの差別化について、NTT-X代表取締役社長の中嶋孝夫氏は「単にGoogleで検索した結果を表示するのではなく、gooは入力されたキーワードの編集や、検索エンジンから受け取ったデータの評価などで、ユーザーが求めているものにより近い結果を表示できる」と述べている。
さらに、同じ検索エンジンとデータベースを使うGoogleについても、Web検索サービス以外にgooが提供している、地図や辞書といった実用データサービスを充実させて差別化を図る考えだ。
Web検索エンジンを全面的にGoogleに依存することになったgooであるが、「これは国産検索エンジンの終焉ではない」と中嶋氏は主張する。
「膨大な検索データを世界規模で集めてくる大規模検索エンジンはGoogleに任せるが、gooが独自で提供する実用データの検索サービスのエンジン開発はこれからも継続していく」(中嶋氏)
中嶋氏は、検索エンジンの完成度は「gooがサービスを開始した当時を小学生とすれば、いまはまだ中学生の段階。ユーザーの4割は検索結果に不満を持っている」と述べ、検索エンジンの開発を独自に進めていく必要性を強調している。
「汎用的な単語を並べた検索では、2時間かけても求めている解にたどり着けないことがある。しかし、友人に電話をすれば、5分で知りたい情報を得ることが可能だ。検索エンジンはこのレベルまで到達しなければならない」(中嶋氏)
日本語Web検索で発生するトラフィックのうち、12%が不適切な用語で行われる無駄な検索によるもの。このトラフィックの削減は検索のパフォーマンスとユーザーの満足度に大きく影響するとされている。
12月1日の新しいWebサービス開始にあわせて、gooは日本語検索精度を向上させるために、以下に挙げる新機能を実装する。
提携発表会にGoogle側から出席していたオミッド・コーデスタニ氏(業務開発・営業担当副社長)は、今回の提携で「Web検索サービスの提供や技術開発、マーケティング提携などで、これから密接な協力を行っていく」と語り、NTTの持っている研究開発能力をGoogleが利用できるメリットをアピールした。
12月1日からgooでサポートされる新規機能も、Googleが欲しがっている日本語による検索技術を利用しているが、当面はgooだけで使える独自機能として扱われる予定になっている。
これらの機能に関するGoogleとの技術共有については「まだなにも決められていていない」(浅川秀治 NTT-X goo編成本部サービス部長)
検索データベースを提供する代わりに、技術開発、とくにフロントエンドに関わるノウハウを共有したいGoogleであるが、具体的な共有する技術項目や開発テーマについては、「これから話し合いを進めて決めていく」(中嶋氏)とgoo側は述べている。
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[長浜和也, ITmedia]
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