News 2003年10月15日 05:54 PM 更新

カシオがプロジェクター市場に参入 小型化技術を強みにトップシェア目指す

カシオが企業・教育機関向けデータプロジェクター市場に参入。2005年までにシェア30%獲得を目指す。

 カシオ計算機は10月15日、モバイルデータプロジェクター市場に参入すると発表した。企業・教育機関向けデータプロジェクターを12月から順次発売する。後発の参入ながら得意の小型化技術などを強みに、同市場で2005年までに30%以上のトップシェア獲得を目指す。2003年度にまず売り上げ10−20億円、2004年度には同100億円を見込んでいる。

 新製品のデータプロジェクターは2モデルをラインアップ。本体がB5ファイルサイズの「XJ-450」は56万8000円(2004年2月発売)、A5ファイルサイズの「XJ-350」は43万8000円(2003年12月発売)。日本テキサス・インスツルメンツDLP方式を採用した。

同時発表の400万画素書画カメラ「YC-400」(2004年2月発売)は25万8000円。同社のモバイル機器ブランド「CASSIOPEIA PRO」から販売する。


XJ-450

 「XJ-450」「XJ-350」はDLPを採用し、表示解像度はそれぞれ1024×768ピクセル。データプロジェクターとしては最高倍率となる2倍ズームレンズを搭載した。スクリーンから最短80センチの至近距離からでも30インチサイズに投影でき、小規模な会議室などでも無理なく設置できるとしている。


XJ-350

 モバイルサイズながら、輝度は「450」が2800ANSIルーメン、「350」が2200ANSIルーメンと、明るい室内でも照明を落とさずに利用できる。有効光を逃さない「逆メニスカスコンデンサーレンズ」を利用した「IMC方式」と、従来比で30%集光効率の高い非球面形状のリフレクターを採用した「ACR方式」により、本体サイズを抑えたまま高輝度化が可能になったという。

 「450」はB5ファイルサイズのオートフォーカス機。位相差センサー方式で台形歪みを自動補正する機能を備えた。スクリーンの中心に正対した位置から上下左右30度までずらして設置しても、長方形の画像を投影できる。サイズは278(幅)×64(高さ)×194(奥行き)ミリで、重さは約2.4キロ。レーザーポインタ付きワイヤレスリモコンが付属する。

 「350」はA5ファイルサイズのマニュアルフォーカス機。サイズは230(幅)×55(高さ)×171(奥行き)ミリで、重さは約1.8キロ。ワイヤレスリモコンが付属する。


YC-400。カメラ部は回転可能

 400万画素書画カメラ「YC-400」は、B4サイズまでの書類や立体物を自動撮影可能。カメラ部は上に引き上げて左右90度回転させることができ、掲示物やホワイトボードなども撮影できる。

 投影時の表示解像度は1024×768ピクセル。たためばB5ファイルサイズに収まる。サイズは収納時が168(幅)×43(高さ)×285(奥行き)ミリ、使用時が327(幅)×385(高さ)×267(奥行き)ミリ。重さは約1.6キロ。カメラは取り外して単独でも利用できる。

「モバイル」データプロジェクタ市場を開拓し、トップシェア獲得へ


「モバイルデータプロジェクターという新たな市場を開拓したい」と意欲を語る樫尾和雄社長

 「カシオのエレクトロニクス技術、光学技術、小型実装技術というコアコンピタンスを生かせるのがモバイルデータプロジェクター市場。参入で市場を活性化させたい」と樫尾和雄社長は15日、都内の発表会場で意気込みを語った。

 プレゼンテーションでの標準ツールとして普及が進むデータプロジェクター。持ち運びが楽なモバイルタイプを市場に投入することで、小規模な会議にも持ち出して「ディスカッションツール」として使用する新しい利用スタイルを提案し、市場を拡大したい考えだ。

 同社のデジカメ技術を生かした書画カメラも同時に販売することで、学校現場での採用をすすめていく。配布プリントや新聞など紙資料に加え、岩石など立体物も簡単に投影できることをアピールする。

 同社によると、プロジェクターの世界市場は年率約2割の勢いで成長。国内では企業内利用の増加に加え、文部科学省が全国の小中高合計約4万校の全普通教室にプロジェクターを設置する方針を打ち出すなど、市場の拡大要素は大きい。

 現在、世界のプロジェクター市場では、セイコーエプソンと米InFocusがそれぞれ14−15%でトップシェアを争い、次いでソニーが10%、NECが9%と上位4社でシェア約5割を占める。「デルモデル」を武器に米Dellが安価な製品の販売を始めるなど、成長分野と見て新規参入も相次ぐ。

 強豪ひしめく中で後発組となるカシオだが、同社が強みとする小型化技術を活かせるポータブル分野なら勝算ありと見ている。「モバイル用途のノートPC市場が近年急速に活性化したように、モバイルプロジェクター市場も据え置き型よりも高成長を遂げる」(同社)。コンシューマー向けや据え置き型への参入は見送り、当面はモバイルタイプにリソースを集中する考えだ。

 販売面では、国内では同社が培ってきた事務機の流通ルートや学校販売ルートを活用するほか、同社のソリューション事業に組み込んだ販売も行う。海外でも積極展開を図り、各国の事情に合わせた流通経路を開拓していく。

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[岡田有花, ITmedia]

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