News 2003年10月15日 10:21 PM 更新

パフォーマンスでPentium Mと肩を並べたEfficeon(2/2)


前のページ

 Crusoeで32ビットの命令コードを4セット同時に処理していたVLIWアーキテクチャは、Efficeonでは8セットまとめて処理できるように拡張され、新バージョンのCMSはTransmetaが「4ギアシステム」と呼ぶ4段階の命令最適化処理によって、使用頻度の高い命令コードを重点的に最適化してくれる(別記事参照)

 ディッツエル氏がパフォーマンスの説明で、とくに意識していたのが「1ワットあたりのコストパフォーマンス」。

 ベンチマークの比較データとして用意されたのも「ファンレスノートCPの限界」とTransmetaが考えているTPD7ワットのCPUでそろえている。Efficeonは1.1GHzで動作するTM8600であるのにたいして、インテルは超低電圧版(ULV)Pentium M/900MHzが選ばれている。

 正確なところを言うと、ULV Pentium M/1GHzのTDPも7ワットなので、Transmetaが公開している比較データはインテルにとっては不公平ではあるが、それでも「同じ消費電力でEfficeonはより早いクロックで動作する」というディッツエル氏の主張は正しいことになる。

 ベンチマークの結果に関しても、ベンチマークによってCentrinoシステムの1.2〜2.7倍もの結果がTransmetaの資料では示されている。総合ベンチマークとしてよく使われているSYSmark2002でもEfficeonがCentrinoを上回っている。相対性能で1.1程度なので、Pentium M/1GHzではほぼ同じ結果になる可能性は高いものの、「同じクロックでも動きが遅い」と日本の多くのノートPCユーザーに評価されていたCrusoeと比べると格段に進歩したといえるのではないだろか。


メジャーなベンチマークによるパフォーマンス比較。CentrinoのシステムはULV Pentium M/900MHz+Intel 855GMで、Transmeta側はEfficeon TM8600/1.1GHz。Efficeon側のシステムではGPUが明らかにされていない。これは「このデータの目的はCPUのパフォーマンスを示すためでグラフィックの構成は関係ない」(Transmeta Director of System Marketing ジョン・ハインライン氏)ということだが、Geforce4 420 Goが使用されている可能性が高い



展示サンプルで動作していた3DMark2001 SecondEditon(Build330)とFINALFANTASY XI for Windows 公式ベンチマークVer1.1の結果画面。システム構成はTM8600/1.1GHzにビデオカードがGeForce4 MX 440、HDDはST340016A(容量40Gバイト)

 ディッツエル氏は、Efficeonにあわせて発表された電力管理ソフトウェアの新バージョン「LongRun2」の説明も行った。従来のLongRunはCrusoeが行っている処理負荷にあわせて供給電圧と動作クロックを動的に変更するものだったが、LongRun2では、Efficeonの処理負荷にあわせてトランジスタの「しきい電圧」を動的に制御する機能が新たに加えられている。

 この機能は微細プロセスルールの半導体で問題になる「リーク電流」を抑えるのが目的。待機状態では「しきい電圧」を上げてリーク電流を抑え、システム全体の消費電力を低減できるようする仕組みだ。Transmetaが用意したデータによると、LongRun2を無効にした場合で144ミリワットだった待機状態のリーク電力が、LongRun2を有効にすると2ミリワットまで減少している。

 LongRun2は第1世代のEfficeonではサポートされず、90ナノメートルプロセスの第2世代以降で実装される予定だ。

関連記事
▼ Transmetaの「Efficeon」、性能強化の詳細が明らかに

関連リンク
▼ Transmeta

[長浜和也, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 2/2 | 最初のページ