News 2003年10月21日 09:17 PM 更新
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和解条項遵守を主張するMicrosoft、新たな懸念を抱く米司法当局、欧州委員会

Microsoft独禁法訴訟で、Windows XPの音楽機能を巡り新たな火種が生じているが、Microsoftはあくまでも和解条項の遵守に沿った活動をしていると主張している。(IDG)

 Microsoftは米国政府との独禁法訴訟に関し、和解条項の遵守を継続しており、その証拠として Windowsクライアントと相互運用するサードパーティ製品を認定するMicrosoft Communications Protocols Program (MCPP) にライセンシー4社が新たに加わったことを明らかにした。Cisco Systems、Tandberg Television、Laplink Software、The SCO Groupは過去数カ月間にMCPPプログラムのライセンスを取得し、「同プログラムで規定された条件が妥当であることを実証している」と10月17日に行われた法廷への提出書類に記されている。

 この書類は連邦地裁のコリーン・コラー=コテリー判事に対し、Microsoftの共同状況報告書の一部として提出されたもので、同社が昨年出された米法務省との独占禁止法訴訟での最終判決を遵守していることを報告する内容。

 この契約ではMicrosoftが特定のWindowsコミュニケーションプロトコルのためにライセンスを妥当で差別的でない条件下で提供するというもの。7月に共同提出された状況報告書では、裁判所は「このライセンシングプログラムを非常に、非常に憂慮している」と述べていた。

 しかし、Microsoftによれば、同社は17日、ライセンシングの条件を理解しやすいものにし、ロイヤリティの支払い金額を軽減、潜在的なライセンシーを引きつけるためのマーケティングキャンペーンを打ち出すという、最終判決における和解条項を超える行動に出た。

 Microsoftは、汎用サーバで同社と競合関係にあるSCOがライセンシーとなる決断をしたことで、このプログラムはさらに前進したと述べている。

 さらに、同社は40社近くの潜在的ライセンシーと交渉中で、その中にはSun Microsystemsも含まれており、Microsoftは評価契約にまで至ったという。

 それでも原告は、17日の提出書類の中で、Microsoftの進展は「限定的なもの」であり、ライセンシングプログラムへの参加を予定していない企業にインタビューし、さらに改善できるかどうかを調査するつもりだと述べている。

 Microsoftは米国での訴訟で出された改善命令を遵守していると判事に主張する一方、ヨーロッパ当局がMicrosoftの独占禁止法違反を懸念していることに対し、回答を準備している。Microsoftの広報担当者は17日、同社は欧州委員会に対し、独占禁止法違反への懸念に関して回答を提出しようとしていると述べた。

 欧州委員会の代表は20日、米国政府の裁判におけるMicrosoftの遵守状況を見守っているか否かについて回答しなかった。

 米国における訴訟の原告は、Microsoftのライセンシング契約の一部を評価するのに加え、ユーザーがオンライン接続し、CDを購入できるというWindows XPの「Shop for Music Online」機能について懸念を表明した

 原告はこの機能がユーザーの選んだデフォルトブラウザではなくMicrosoftのInternet Explorerブラウザを起動するようになっていることから、競争を排除してしまう可能性があるのではと憂慮している。Microsoftと原告はこの問題に関して広範囲にわたる話し合いを行っており、裁判所の助力を求めることになるかもしれない、と共同報告書には述べられている。

 米国の訴訟に関する次回の状況確認会議は10月24日に予定されている。

 欧州委員会の規制当局は、Microsoftの独占禁止法違反についての疑念に関し、来年早く、結論を出す見込み。

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