News:ニュース速報 | 2003年10月30日 06:07 PM 更新 |
国際電気通信基礎技術研究所(ATR)適応コミュニケーション研究所と同志社大学工学部(笹岡秀一教授)は10月30日、暗号を復元するのに必要な秘密鍵を送受信しなくても暗号通信が可能な無線LAN装置を開発したと発表した。
電波の特性を活用して親機と子機で秘密鍵をそれぞれ生成するため、通信中に鍵を盗まれることが原理的にありえず、盗聴を防止できるという。
装置は、「エスパアンテナ」を備えた無線LANアクセスポイントを親機とし、通常の無線LAN端末を子機として構成。エスパアンテナ(ESPAR Antenna、Electoronically Steerable Parasitic Array Radiator Antenna:電子走査可変導波器配列アンテナ)はATRが開発しているもので、指向性を高速かつ自在に変化させることができる。
この装置では、親機が指向性をランダムに変えることで、親機と子機の双方でフェージング(電波強度のゆらぎ)を発生させる。電波には往復で同じ経路をたどる可逆性があるため、親機と子機では同じフェージングとなる。このフェージングに基づいて親機・子機それぞれが秘密鍵を生成するため、秘密鍵をデータとして送受信しなくても親機・子機が同じ秘密鍵を持つことができ、暗号通信が可能になる仕組みだ。
受信場所によりフェージングは異なるため、第三者には同じ鍵を作ることができず、また親機から見て子機と同じ方向に第三者がいても、周囲の壁からの反射などの影響から同じ鍵は作成できず、盗聴を防止できるとしている。
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