News | 2003年10月31日 09:54 AM 更新 |
欧州委員会は10月30日、反競争的行為の疑いから、米Microsoftのライセンスポリシーに関連してハードメーカーにコンタクトを取ったことを明らかにした。接触先のメーカー名は明らかにされていない。
同委員会は、MicrosoftがWindowsに課している特定のライセンス条項に関して懸念を表明する企業の声を受けて動いており、今回の動きは予備的な事実関係調査だとしている。
問題となっている「nonassert obligations」条項は、ハードメーカーがソフトに影響する可能性がある自社のハードウェア特許権を主張することを防止している。
例えば、IBMがコンピュータの動作を高速化する手法に関する特許を持っている場合、同社はMicrosoftや競合するハードメーカーがこの技術を使うのを止められないことになる。
IBM、Dell、日立、東芝などのハードメーカーは、Windowsなしではコンピュータを提供できないため、この条項にサインしているとMicrosoft批判派のトーマス・ビニエ氏は指摘する。同氏は法律事務所Morrison & Foersterのブリュッセル事務所でパートナー弁護士を務めている。
欧州委員会はハードメーカーに対し、Microsoftと結んだ契約について情報を提供するよう求める書簡を送ったと同委員会の発表文には記されている。
同委員会はまだ何ら結論には至っておらず、またこの問題についてMicrosoftに連絡を取っていないという。
現時点ではMicrosoftからコメントは得られていない。
ビニエ氏によれば、同社は4〜5年前から問題の条項をハードメーカーとの契約条件に含めるようになったという。
今回の書簡は、欧州委員会が進めている独禁法違反調査とは別のものとなる。この独禁法問題では、Microsoftがオーディオ・ビデオ再生ソフトをWindowsの最近のバージョンにバンドルしていることが争点となっている。
欧州委員会は、MicrosoftがWindowsの独占的地位を乱用して、オーディオ・ビデオ再生ソフトの市場を牛耳ろうとしているとの理由で告発。また、同社がPC OS市場での独占力を、ローエンドサーバOS市場で利用しているとの嫌疑もかけている。
同委員会が、Microsoftが問題のライセンス条項を利用して、ハードメーカーの技術革新を阻害しようとしているとの疑惑を抱いた場合、今回の動きが別の独占禁止調査の土台となる可能性もある。
ハードメーカーが「このような条件にサインすると、革新の大きな阻害要因になる」とビニエ氏は語る。
同氏のクライアントはDellや富士通など。
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