News | 2003年11月1日 09:20 PM 更新 |
これは、アップルの提唱するRendezvous(ランデブー)という「設定なしネットワーク」の技術による。Mac OS Xでは、OSレベルでRendezvousをサポートしているけど、Windowsではそういうわけにいかない。iTunesというアプリケーションレベルでサポートしてしまったのだ。
デフォルトの設定では、他人の公開しているライブラリは見えるけど、自分は公開しないという設定になっている。試しにWindowsでも公開してみたけど、ちゃんとMacintosh側から見ることができた。もちろん再生も可能(*5)。この簡単さは、アップルの面目躍如というところである。
文字コードの問題
「日本語版」においては、文字コードの問題がある(*6)。MP3やAACのファイルにはタグという形で、曲名やアーティスト名を埋めこむのだけど、それが日本語だったときに、どういう文字コードを使うのかという問題だ。
多くのアプリケーションでは、Shift-JISのタグを埋めこむのだけど、Macintosh版iTunesはそんなことはしない。Unicodeだ。エンコードしたファイルにはUnicodeのタグを埋めこむし、表示に使えるのもUnicodeだけ。だから、他のアプリケーション出作ったShift-JISタグのファイルをiTunesに登録すると、文字化けしてしまうのだ(コンバートする方法は用意されている)。
ではWindowsではどうなるのだろう。実験してみた結果、次のようになった。
エンコードしたファイルのタグはUnicode。でも、表示はShift-JISもOK。他のアプリケーションで作ったファイルも大丈夫というわけ。いちばん平和的な解決をみたようだ。
iPodとの連携
iPodの扱いはとっても簡単だ。iPodをIEEE1394またはUSBでパソコンにつなぐ。すると、(デフォルトでは)自動的にiTunesが起動し、自動的にシンクを行う(iPodの内容をiTunesにあわせる)。シンクが終わったらiPodをいきなり抜いてしまう。これでおしまい。いままでMUSICMATCHを使っていた人だと、あっけなく感じるくらいだろう。
ただし、この美しい操作ができるのは、iTunesのライブラリの容量がiPodの容量以下のときだけだ。それを超えると、iTunesでプレイリストを作っておいて、それだけをシンクの対象にするというような設定をしこんでおく必要が出てくる。これはめんどくさい。めんどくさいから、より大きい容量のiPodが欲しくなる。このあたり、アップルは商売が上手い。
まとめ
iTunesは、「気軽に音楽を聞く」ことを目指したソフトだ。同種のソフトに比べるとできることは限られる。でも、そのできる範囲のことはとっても簡単にできる。ややこしいことはしなくていい。これに魅力が感じられる人にはiTunesは強くすすめられるソフトだ。
一方、マニアックな人たちには、物足りなく感じるところがでてくるだろう。WMAやOgg Vorbisを扱いたいなんていうのは、その筆頭だ(私もそのケがあるから気持ちはわかる)。
また、iTunes for Windowsは、Macintosh版そのままをWindowsの上に再現したソフトウェアでもある。画面デザイン(アップルマークも!)や操作方法などを、Windows流に変えるということをほとんどしなかった。見た目で違うのは、ウインドウ内にメニューがあること、クローズボックスの位置、そして表示フォントだけだ。
そして、その操作性は、好き嫌いはあるにしても、全体として統一がとれた、分かりやすいものである。アップルはこのiTunesを通じて、自分たちがどういうユーザーインターフェースをつくっていうのかをWindowsユーザーにも知らせようと思っているのかもしれない。
[こばやしゆたか, ITmedia]
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