News | 2003年11月4日 12:37 PM 更新 |
例えばPCベンダーが独自に提供している電源管理・設定ユーティリティや、ロケーション切り替えに応じたネットワーク設定の切り替え、無線LANのSSIDを検知して自動的に設定を切り替える機能などは、すべてLonghorn側に実装されるようになる。
また、データ同期の包括的な枠組みも提供される。データ同期はWebコンテンツのダウンロードやオフラインフォルダ機能を利用するため、すでに従来のWindowsに実装されているが、LonghornではファイルやWebページだけでなく、あらゆるネットサービスやアプリケーション、デバイスをサポートするため、より進化したものになる。
もうひとつ重要な点は、モバイル向けのアプリケーションが書きやすくなっていることだ。PCの電源管理ステータスがどのようになっているのか、あるいはWindowsの電源管理モジュールに対してどのような指示を与えたいのかといった操作が、従来よりもずっと簡単に行えるようになる。
データ同期にしても、簡単なプラグインをインストールするだけで、独自のデータを同期させる機能をWindowsの同期マネージャに追加できる。またWinFSは同期マネージャに完全対応しているため、データをWinFSにストアするように設計すれば、アプリケーションへの同期機能の実装はさらにシンプルになるという。
テクニカルセッションでは、Longhornの機能を利用して電源ステータスに応じてどのようなアプリケーションが書けるようになるのか、あるいはロケーション情報を元にどのようにアプリケーションの仕様を決めるべきか、といったテーマもあり、それぞれ具体的なプログラムコードを元にした解説が行われている。
確かにオリジナルのアイディアは各種の先進的なユーティリティが目指したものだが、OS側にそれが入ることで、ユーティリティでは得られない機能の実装が可能になる。もちろん、ユーザーが機能を利用する際のインタフェースが統一されるというメリットもある。
このほか、モバイルPCでプレゼンテーションを行う際の設定を簡易化するため、自動的に外部ディスプレイの存在を認識したり、ワイヤレス接続のプロジェクタのサポートも行われる。外部ディスプレイ接続時に解像度が変化してしまうと、アイコンやウィンドウの配置が変化してしまうが、これも外部ディスプレイを取り外し解像度が元に戻った段階で、自動的に元のレイアウトに再配置するといった機能も提供される。
進化した同期機能
データ同期を行うための包括的な枠組みが用意されたと述べたが、その機能はWinFSに含まれている。WinFSはNTFSへのファイルストアをリレーショナルデータベースで補完するものだと言われている。もちろんそうした側面もあるが、同時に様々なサービスもWinFSには追加された。同期機能、情報エージェント(WinFSの更新内容を見て様々な処理を自動化する機能)などがそれだ。
つまりOSのストレージサービスレベルで、情報の複製や同期がサポートされているのである。同期の対象は従来のOSで言うファイル(およびその属性・メタデータ)だけでなく、データベースのリレーション情報なども含まれる。さらにプラグインを追加することで、ほとんどのデータを単一のユーザーインタフェース、運用スキームの中で同期させることが可能だ。
この機能はモバイルPCを外出先に持ち出すユーザーにとって、非常に重要な機能となるだろうが、デスクでしか仕事をしないユーザーにとっても有効に活用できる。なぜなら異なるユーザー間のコラボレーションも意識しているからだ。
例えばネットワークで繋がった2台のPCに共有ストレージを追加したとする。ネットワーク接続中、片方のPCにデータを入れると、もう一方のPCにそのデータが自動的に同期される。その後、ネットワークがオフラインになった後、互いに共有ストレージに情報を加えると、ネットワークが再度オンラインになったタイミングで同期が自動的に行われる。
同期機能は前述の情報エージェント(InfoAgent)と連携しており、標準で設定されている情報エージェントが同期の必要性やオンライン/オフライン。共有ストレージに新しいアイテムが追加された旨などをポップアップメッセージで知らせてくれる。
大きな特徴はWebサービスの同期もサポートしていることだろう。サービスごとに簡単な同期アダプタをインストールすれば、Webサービスのコンテンツをあらかじめダウンロードしておき、オフラインで実行したり、オフラインに行ったWebサービスのトランザクションをオンラインになった時に反映させるといったことが可能だ。動作のイメージとしては、Outlook 2003に追加されたExchnageへのキャッシュアクセスモードに近い。
なお、WinFSで管理されているファイルやメディアなどのアイテムは、更新内容がすべてトラッキングされデータベースに格納されるほか、複数バージョンを同時に保有するといたこともできる。
このため単にタイムスタンプを元にした同期よりも安全に同期処理を行える。また同期単位もファイルだけでなく、レコード単位、表計算のセル単位といった細かな同期も可能である。さらに同期処理を自動化するため、データタイプごとに同期時の処理ポリシーを記述するスキーマも提供される。
標準ではDeveloper Previewのレポートで画面を紹介したような、設定やドキュメントデータの同期に加え、特定フォルダとリムーバブルメディアの同期、他PCとの同期、PDAや携帯電話との同期といったものがサポートされているが、アプリケーションがWinFSの機能を利用しさえすれば、もっと多くの種類の同期タスクを一括処理可能になる。
[本田雅一, ITmedia]
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