News 2003年11月5日 09:09 PM 更新

ストリーミングデータの保存に特化したSeagateの家電向けHDD

技術的進化の停滞が気になるPC向けHDD業界だが、家電組み込みHDDは急速な伸びを示している。Seagateが家電向けに投入したHDDも「PCよりDVR」でパフォーマンスを発揮するファームウェアを実装する。

 Seagateは、すでに米国で8月末に発表しているデジタル家電特化型HDDの製品説明会を東京で行った。

 説明会には米国本社からマーケティングを担当するログ・ペイド氏(グローバルコンシューマーエレクトロニクスマーケティングディレクター)が来日し、デジタル家電製品の動向と、そこで求められるHDDの特性について説明した。


デジタル家電の動向とSeagateの家電向けHDD戦略を説明するログ・ペイド氏

 Seagateのコンシューマーエレクトロニクス(CE)向けHDDは、需要が増加しているDVR(Digital Video Recorder)、PVR(Personal Video Recorder)、Home Media Serverで扱うビデオストリームデータの保存に特化した「ストリーミングコマンドATA-7」に対応しているのが特徴。

 ペイド氏の説明によると、ストリーミングコマンドATA-7は、連続して送られてくるストリーミングデータの書き込みに特化するために、HDDの書き込みデータエラーチェック方法がPC用のHDDと異なっている。

 例えば、フレームレートが30fpsのビデオストリーミングデータの処理で、1フレーム分の画像データが欠落しても、ほとんどのユーザーは30分の1秒程度のコマ落ちを認識することはない。そのため、ビデオストリーミングでは、データのリカバリーよりも送られてくるデータを滞りなく保存することが重要になる。

 1ビットの欠落でも重要な結果が生じるPC用のHDDでは、データの整合性を保つために複雑なエラーチェックコマンドを実行しているが、ストリーミングコマンドATA-7では、エラーチェックの時間を制御することで、エラーチェック処理より、ストリーミングデータの記録処理を優先できるようになっている。

 現在、Seagateから出荷されているCE向けHDDの容量は40、80、120、160Gバイトの4種類。デスクトップPCで使われている3.5インチフォームファクターを採用しているが、将来、2.5インチなどの小型化も検討しているという。

 説明では「2.5ベルを実現した静音性能」もアピールしているが、「CE向けHDDとPC向けHDDの差別点はファームウェア内部に限られている。ハードウェア的にPC向けHDDと異なっている部分はない」とベイド氏は述べているように、とくに新しい静音技術が採用されたわけではない。。コネクタも通常のパラレルATAで使われている形状と同じになっている。

 OEMのみの販売ということで、詳細なハードウェアスペックは明らかにされていない。今回もベイド氏は、「回転数は5400rpm“相当”、キャッシュ容量は明らかにできないが、それほど多くのキャッシュメモリは実装していない。ただし、それでもパフォーマンスが出るようにチューニングされている」とだけ説明した。

 また、出荷価格や数量、SeagateにおけるPC向けHDDとCE向けHDDの生産比率の推移予定についても、ベイド氏は明言を避けた。

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[長浜和也, ITmedia]

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