News 2003年11月18日　11:59 PM 更新

「Media Center Edition」が単体販売されない理由

都内で開催された「ホームシアター2003」で、マイクロソフトWindowsビジネス本部部長の御代茂樹氏がWindows XP Media Center Editionについてセミナーを実施。Media Center Editionが単体販売されない理由についても言及した。

　さまざまなAV機能をリモコン1つで操作できるエンターテインメントOS――「Windows XP Media Center Edition 2004」が国内で発表されて約1カ月が過ぎた。国内外のPCメーカーからも、Media Center Edition対応PC「Media Center PC」が発売され始めている。

　11月17、18日の両日に都内で開催された「ホームシアター2003」のセミナーで、マイクロソフトWindowsビジネス本部部長の御代茂樹氏が、次世代デジタルメディアプラットフォームとして期待されるMedia Center Editionについて語った。


　マイクロソフトWindowsビジネス本部部長の御代茂樹氏

「2feet UI」から「10feet UI」へ

　同社が「ユーザーの使い勝手を中心に考えて開発したOS」と強調するMedia Center Editionは、Windows Media 9 Seriesのエンジンを使いつつ、従来のPCのようなキーボードとマウスといったものではなく、リモコン操作による新しいユーザーインタフェースを提供している。


リモコンで操作可能な新インタフェース

　「従来のPCのユーザーインタフェースを、われわれは“2feet UI”と呼んでいる。両手で使うぐらいの距離、つまり画面から60センチ程度しか離れられないインタフェースしか、われわれは作ってこなかった。これを、離れた場所から操作できるように“10feet UI”にしたのがMedia Center Edition。従来のアプリケーションは、操作も2feet UIをベースに作られているため、使い勝手の統一感を求めた独自の操作系を構築した」

　Media Center Editionで手に入るエクスペリエンスは、現バージョンではTV/HDDレコーダー機能やCD/DVD/ビデオ/デジカメ画像の視聴などで、これならTVチューナーやHDDレコーディング機能を備えた近年主流のマルチメディアPCでも同じことは十分可能だ。

　「だが、従来のPCに搭載されたアプリケーションのインタフェースは2feet UIでフォントも小さく、マウス操作を前提にしたものだ。Media Center Editionでは、例えば“マイテレビ”ではEPGや録画済み番組の検索もリモコン1つで簡単にできるし、HDDレコーダー機能ではタイムシフトがデフォルトで働いているため、ライブとタイムシフトの映像がシームレスに移行できる」


EPGからの番組予約もリモコン1つで可能

　Media Center Editionを搭載したMedia Center PCは、国内で8メーカーが販売の名乗りを上げている（別記事を参照）。その多くは実売30万円前後の価格帯で“単なるマルチメディアPC”と見てしまうと割高感があり、現状は一部のマニア層向けという感は否めない。だが、Media Center Editionで目指す家電やAV製品感覚の快適な操作感は、PC操作の分からない人からAVマニアまで幅広いユーザーに受け入れられるものだ。

　「メーカー側では静音のためのCPU/ケースの選択や音質の追求など、さまざまな試行がなされており、実際の製品でもビジュアルテクノロジーの“80万円Media Center PC”のようなものもある。だが、極端に機能を突き詰めるといったことをしてしまうと、PC販売店から“マニア向けはちょっと……”と敬遠されてしまう。また、日本ではプラズマTVなどAV製品とPCの売り場（担当者）が違うといった問題もある。とりあえずは、PCマニア層からといったソフトランディングでスタートし、徐々に認知度を広げていきたい」

単体販売はLonghornから？

　Media Center Editionは、OSとはいうものの通常のWindows XPのようにパッケージによるOS単体販売は行わず、自作PCやショップPCなどシステムビルダー向けのOEM製品（DSP版）としても出回っていない。

　「PC経由でデジタルコンテンツを家電感覚で楽しむために、Media Center Editionではハイレベルなビデオ/チューナーカードやリモコンなど対応機器が必要。また、対応ドライバーセットはメーカーと機器ごとに一つ一つ検証しながら共同作業で作り上げている。DSP版が出てこないのは、このような背景があるから」

　だが、このような新カテゴリー商品の普及のキッカケを作る“布教活動”をしてくれるのは、OSはDSP版で購入するといったパワーユーザーだったりする。Media Center EditionのDSP版という可能性はないのだろうか。

　「サポートの問題などもあり、現在のバージョンではPCメーカーからプリインストールされたカタチで提供されるだけになる。もし単体で販売することがあるとすれば、次期Windows（Longhorn）の時だろう」

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[西坂真人, ITmedia]

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