News | 2003年11月27日 10:32 PM 更新 |
マイクロソフトは11月27日、定例のプレス向け説明会で、社会問題にもなっている「迷惑メール」への同社の取り組みについて語った。
迷惑メールの現状について、同社極東担当アソシエイトジェネラルカウンセルのトム・ロバートソン氏は「米国の調査機関によると、世界の電子メールトラフィックの約半分は迷惑メールで、ユーザーの7割がこれを不快だと感じている。そして迷惑メールの処理は生産性の低下を招き、その損失額は200億ドル以上に及ぶと予測されている」と語る。
「さらに、ウイルスの添付や詐欺など犯罪行為にも結びついている。迷惑メールは、本来有効なツールである電子メールの満足度を下げ、信頼性を損なうものだ」(ロバートソン氏)
米国では増加する迷惑メール対策として迷惑メール対策法案(CAN-SPAM)が策定され、11月25日に連邦議会上院で同法案が承認。12月第2週には、同下院でも全会一致で可決されると見られ、12月中には署名のためブッシュ大統領へと提出される見通しだ。(別記事を参照)
「米国では、国家レベルで迷惑メールを取り締まれる権限を持つことになる。欧州地域でも似たような法案が10月31日付けで通った。世界各地でスパムへの法規制の動きが出ており、これは当社としても歓迎する動向」(ロバートソン氏)
Microsoftの迷惑メールへの取り組み
迷惑メールに対するMicrosoftのスタンスは、「迷惑メールの撲滅に“積極的に”取り組みます」だ。
だがロバートソン氏は、迷惑メール対策には、さまざまな方面からの連携したアプローチが必要な点を強調する。
「迷惑メール対策に当社は数年前から積極的に取り組んできたが、この問題は1社だけでは解決できない。1:業界全体の連携した自主規制の徹底化、2:法制度の整備、3:法的執行、4:ユーザーへのスパム防止ツールなどの情報提供、5:フィルタリングなど技術の開発・導入、この5本の柱があって、はじめて克服できる」(ロバートソン氏)
「業界内連携」では、今年4月28日に同社とAmerica Online(AOL)、Yahoo!の3社が、迷惑メール撲滅をするための業界への働きかけや技術協力などで提携したほか(別記事を参照)、7月31日には香港のISPやダイレクトマーケティング業界などと迷惑メール対策に関して協力関係を交わすといった業界提携も行われている。
「法制度の整備」では、今年5月21日にビル・ゲイツ会長が法的措置の重要性や独立機関の設立などを米連邦議会へ訴える手紙を送ったほか、6月24日には顧客向けに定期送信している電子メールの中で、ゲイツ会長が政府と企業が迷惑メール阻止に向けて協力して取り組むようにあらためて訴求(別記事を参照)。11月22日には、迷惑メール対策法案に関してゲイツ会長がコメントをするといった活動を展開。
そのほか「法的執行」でも同社は、2月21日にHotmailアカウントをめぐる迷惑メールに関してカリフォルニア州北部連邦地裁へ提訴したほか、6月17日には迷惑メール問題の解決に向けたグローバルな強化策を打ち出した。また「情報提供」では、今年11月24日にユーザー向け迷惑メール情報提供サイト「You can help stamp out spam」を開設している。
「業界や行政機関だけでは、対応に限界がある。ユーザー自身も迷惑メール対策について学習していかなくてはいけない。個人でできる対応策はいろいろある。迷惑メールに関するサイトでさまざまな情報を提供していきたい」(ロバートソン氏)
迷惑メールフィルタリング技術「SmartScreen Technology」
最近のトピックスは、11月17日のCOMDEX基調講演で、ゲイツ会長が迷惑メールの対策として同社電子メールプラットフォーム(Hotmail、Outlook 2003、Exchange Server 2003など)に展開することを発表した迷惑メールフィルタリング技術「SmartScreen Technology」だ(SmartScreen Technologyの詳細は別記事を参照)。
今回の説明会では、迷惑メールフィルターの生成・動作プロセスも紹介された。
日本での取り組み
国内でも11月12日に同社とヤフーが共同で迷惑メールの撲滅対策に取り組むと発表。両社で連絡会を発足させ、技術・法律面での情報交換を行って実効性の高い対策を講じていくという。
「ヤフーとの連絡会では、他のISPや通信会社への呼びかけを積極的に行っていく。12月1日に初の定例会議実施を予定。ここでは、情報共有による迷惑メール送信者の特定、迷惑メール関連法の考察、個人・企業への提言や行政庁への協力などについて話し合う」(同社アジアリミテッド法務政策企画統括本部法部本部長の水越尚子氏)
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[西坂真人, ITmedia]
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