News | 2003年11月29日 00:13 AM 更新 |
日本アイ・ビー・エム(IBM)は11月28日、ThinkPadの開発拠点であるIBM大和事業所(神奈川県大和市)のプレス向け見学ツアーを実施した。
ThinkPadシリーズは、一部の機種を除き、基本的にはここ大和事業所ですべて開発が行われている。これまで同事業所で指揮をとってきた米IBMフェローの内藤在正氏が米国ラーレイの研究所に異動、かわって10月から同社ポータブルシステムズ担当IBMディスティングィシュト・エンジニアの小林正樹氏がThinkPadシリーズ全体の開発指揮を担当している。
ThinkPadは1992年の登場以来、ノートPCの代名詞としてこれまで多くのユーザーに愛されてきた。2000年3月には1000万台、2002年10月には1500万台と順調に販売台数も伸ばし、今月11月には誕生11年目で累計2000万台を突破した。
ThinkPadでまず連想されるのは“堅牢性”や“信頼性”だろう。1993年12月2日以来、スペースシャトルでの作業に毎回使用され、最近では国際宇宙ステーションでもThinkPad A31pが採用されたといった実績が、ThinkPadが持つ“タフ”なイメージを裏付けている。
「宇宙でのPCシェアは今のところ100%(笑)。特に宇宙空間に留まる宇宙ステーションでは、スペースシャトル以上にアルファ粒子など放射線にさらされる時間が長い。宇宙で使うPCは、イリノイ大学にある加速試験装置で長期間の厳しい試験をクリアした上で採用されている。ThinkPadは目立たないところで頑張っている」(小林氏)
IBMが考える“Mobility”の項目には、「持ち運びしやすい軽量・小型・薄型」「バッテリー駆動時間」「内蔵高速通信機能」「人間工学の基づいたハードウェアの使いやすさ」「セキュリティ」などがあるが、ThinkPad開発にあたっては「持ち運びに耐える堅牢性」という点を特に重要視している。
「Mobilityのための堅牢性を検証するために、大きく分けて『耐ショックテスト』『耐圧力テスト』『拷問(Torture)テスト』という3つのカテゴリーのテストを行っている。拷問テストは、米国の雑誌などでやっていたテストがルーツだが、耐ショック/耐圧力といったテストは、11年間のThinkPadの歴史の中で、ユーザーから出てきたトラブルや故障の教訓を踏まえて、当社独自の規格で作り上げたもの」(小林氏)
見学ツアーでは、液晶ディスプレイにかかる予想外の圧力をテストする「液晶ディスプレイ圧迫試験」、ヒンジや液晶ケーブルの耐久性を検証する「液晶ディスプレイ開閉試験」、落下時に衝撃を受けやすい4隅などの強度を確認する「角落下試験」、HDD動作時に落下させる「動作時落下試験」など、思わず「ああー、PCにそんなこと……」と目をそむけたくなるようなテストの数々が紹介された。
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[西坂真人, ITmedia]
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