News | 2003年12月12日 10:08 PM 更新 |
TRONのリアルタイム性を生かして音楽セッション――ヤマハ
ヤマハは、電子楽器やAV機器に組み込みOS「μITRON」を長年採用してきた“TRON使い”メーカー。今回の展示会では、T-Engineを使ったインターネット経由の音楽セッションシステム「iSession」のデモンストレーションを行っていた。
T-Engineにピアノと音声通信用のヘッドセットをつなげ、T-Engineをインターネットに接続するだけで離れた場所同士で音楽セッションがリアルタイムで行えるというもの。例えば、田舎のおばあちゃんが遠く離れた孫と一緒に会話を交わしながらピアノの連弾を行うといったことができるのだ。
演奏データの送受信においては、数ミリ秒の遅延やデータの欠落があってもいけない。そのため、パケットの欠落や遅延が発生するインターネットでは、リアルタイムの演奏データ送受信は困難だった。
iSessionでは、μITRONのタスクスケジューリング機能を生かし、独自の送受信アルゴリズムを開発してこのインターネット経由時の問題をクリアしている。
「実際には完全なリアルタイムではないのだが、人間の知覚としてどのぐらいの遅延ならリアルタイムに聴こえるかを検証。50ミリ秒以内の遅延なら人間には同時演奏に聴こえることが分かった。iSessionは、ピアノだけでなく電子楽器でMIDIをサポートするものなら、同じようにセッションすることが可能。最終製品としては、クラビノーバなどMIDI楽器に組み込むことを考えている。発売時期は未定だが、ぜひ搭載したい機能」(ヤマハ)
もう一つの展示が、同社のホームネットワーク対応AV機器「MusicCAST」などを集中自動制御する「ユビキタスAVリモコン」。MusicCASTは、無線LANなど家庭内ネットワークを活用して部屋中どこでも音楽を自由に楽しむということを目指している。ユビキタスAVリモコンはこのコンセプトをさらに発展させ、リモコン自身が「誰が」「どこで」使っているかを自動認識して最適なAV機器を自動制御するというものだ。
T-Engine開発キットに、赤外線受信機と超音波マイクを備えたヤマハオリジナルの拡張ボードを装備。これにより、各部屋に2つずつ設置してある赤外線/超音波ビーコンを受信してリモコンの位置を検出し、無線LAN経由でAVサーバに指示を出すことで、ユーザーが意識することなく自分がいる部屋のAV機器をたった1つのリモコンで制御できるという仕組みだ。
「現在はAV機器1台に1つのリモコンがあり、複数のリモコンが氾濫している状況。ユビキタスAVリモコンは、人に優しいAV機器システムを目指した。開発キット自体は大きなものになっているが、実際に製品化したときは普通のリモコンサイズにまで小型化できる。現在は、どのような位置検出の方法がいいかを検証中。商品化の予定は今のところない」(ヤマハ)
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[西坂真人, ITmedia]
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