News 2003年12月16日 08:58 PM 更新
IDG

英国で復活する「無料PC」

死滅したかに思われていた「無料PC」が英国で復活しようとしている。「無料配布」されるのは、IBM製PCだ。(IDG)

 英国のマーケティング会社が「無料PC」のコンセプトを復活させようとしている。この会社では、IBMが製造したパソコンを、一定量の広告をオンラインで見ることに同意したユーザーに配布するという。

 Metronomy Desktop Marketingは、オンライン中1時間当たり3分間広告を見ることに同意した英国ユーザーに、IBM PCを無償提供する。ユーザーはインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)と契約し、1カ月に30時間以上はコンピュータを使う必要がある。

 ロンドンに本社を置くMetronomy Desktop Marketingは、2004年初めにこのサービスを立ち上げる予定で、IBM PCが最初に出荷されるのは2月か3月になると、同社のWebサイトに記載されている。ユーザーが受け取るPCの最小構成は、Celeron/2.4GHzプロセッサ、256Mバイトメモリ、40GバイトHDD、DVD-ROMドライブ、15インチCRTディスプレイ、Windows XP Home Editionを搭載したものだ。

 PCを提供するかわりに、ユーザーはオンラインに20分接続していると、1分間広告を見なければならない、とMetronomy。ゲームをプレイしていたり、商取引の途中だったりした場合には広告閲覧を5分間だけ先に延ばすことができるという。

 Metronomyはユーザーに新しい広告が入ったCD-ROMを送付し、そのCD-ROMは毎月インストールする必要がある。インストールしなければ、PCは動作しない、と同社は説明する。同社がモニターするのは、ユーザーが見た広告の数だけで、オンライン上で何をしていたか、広告に無関係の行動に関しては監視されないという。

 Metronomyの代表からのコメントは、記事執筆時点では得られなかった。IBMの広報担当者からのコメントも得られなかった。

 1990年代の終わりごろ、多くの企業が無料PCの提供を行ってきた。その中には後にeMachinesと合併したFree-PCもある。「このアイデアが露と消えた理由の一つに、広告閲覧を希望する十分な数のユーザーを集めることができないかったことが挙げられる。PCが今よりもかなり高かった当時ですらそうだった」と懐疑的なのは、NPD Techworldの調査担当ディレクターであるスティーブン・ベイカー氏。

 「PCはとても安い。わざわざ無料PCを手に入れてまで広告に身をささげる必要がどこにある?」とベイカー氏は述べる。PCは米国のWalmart.comでは200ドルほどで手に入る。DellやHewlett-Packardといった大手ベンダーの製品でも400ドルほどだ。

 Metronomyがこのサービスで広告主を引き付けるのも困難だろうとベイカー氏は予測する。200ドルのPCも買えないようなユーザーは、広告主の商品を購入できるだけの可処分所得はたいしてないだろう、とベイカー氏は述べている。

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