一方、DSLR展開にも積極的なキヤノンやニコンは、DSLR並みの高機能を載せながらもレンズ一体型のメリットである“コンパクト性”を生かした製品作りをしてきた。
2月14日から発売しているニコン「COOLPIX 8700」は、5機種中で最大倍率となる光学8倍ズームレンズを5機種中最軽量のコンパクトボディに収めている点が特徴。欲をいえば広角側が28ミリ相当からあるといいのだが、このサイズで35-280ミリ相当までの幅広い撮影領域をカバーできるのだから、その機動力を生かせばDSLRには撮れない世界をファインダーに収められそうだ。
米国で開催されたカメラ専門展「PMA 2004」にあわせてキヤノンが発表した「PowerShot Pro1」も、COOLPIX 8700に負けないぐらいコンパクトな8メガ機。最大の特徴は、DSLRユーザー垂涎の的である赤いラインの「Lレンズ」を搭載している点だ。松下の“Leica”やソニーの“カール・ツァイス”に似たノリではあるが、こちらはボディと同じメーカーが作ったレンズ(しかもフローライト)だけに期待したいところ。
光学5倍のオリンパス「CAMEDIA C-8080」はスペック面ではやや見劣りがするが、デジカメ黎明期からハイエンド機に力を入れていた同社の画作りには根強いファンが多い。C-8080の開発担当者によると、納得のいく画作りができるレンズに仕上げるため、ズーム倍率やコンパクト性は犠牲になったとのこと。同社のレンズに対するこだわりは、EDレンズ3枚/非球面レンズ2枚を使った多群多枚のレンズ構成を見てもよく分かる。
8700/Pro1の2機種は明らかにDSLRとの“棲み分け”を図っているが、Four Thirds対応DSLR「E-1」を持つオリンパスも、C-8080に関しては同じスタンスだろう。
DiMAGE 7/7i/7HiからA1/A2とハイエンド機を展開してきたコニカミノルタは、どちらかといえば“対DSLR”路線だったはずだが、先日待望のDSLR「α-7 Digital」を発表しただけに、今後の製品展開が注目されるところ。この“αデジ”への搭載でも話題になったCCDシフト式手ブレ補正システム「アンチシェイク」の元祖が、DiMAGE Aシリーズ。今回の8メガ機の中でも唯一の手ブレ補正システムに魅力を感じるユーザーも多いことだろう。
スペックを一覧にしてみると、各モデルの得手不得手が一目瞭然となる。昨年、デジカメ台数シェアでトップに踊り出たキヤノンは、8メガ機でもすべての項目で及第点以上をマークするなど、ツボを抑えた製品作りはさすがだ。また、5台の中ではDiMAGE A2のみがマイナーチェンジで残り4台は新規開発商品(COOLPIX8700は5700と同形状だがサイズが一回り大きい)となるのだが、それでもこのA2の健闘ぶりは同シリーズの基本性能の高さを物語っている。
だが実際の“使いやすさ”は、必ずしもスペックに比例するとは限らない。筆者は、発表会/内覧/実機レビューなどでこの5機種すべてを手にしてみたが、個人的に日常の取材で使うならばDiMAGE A2を選ぶと思う。
いや、正確にはA2発売後に値下がりが予想されるA1をひそかに狙っていたりする。APS-Cサイズならともかく、2/3インチほどの小サイズCCDで8メガという高画素化は、ダイナミックレンジや感度への弊害が気になるからだ。今回の新製品5機種はいずれも光学系に力を入れているだけに、とどまるところを知らない高画素化の流れが残念でならない。
カメラ映像機器工業会(CIPA)によると、2003年度デジカメ出荷実績は国内が対前年比129%なのに対して日本以外では同194%と海外の伸びが顕著だった。依然として“高画素信仰”が根強いといわれる海外向けを視野に入れると、ハイエンド機の8メガピクセル化も当然の流れなのかもしれない。
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