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IBM、Powerアーキテクチャ公開計画を発表

» 2004年04月01日 10時07分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米IBMは3月31日、Powerマイクロプロセッサシリーズをサードパーティに公開すると約束した。ネットワーク機器やサーバから民生用製品に至る各種機器向けにチップをカスタマイズできるようにする狙いがある。

 エンドユーザーの目からは、当面は変化はないだろうが、IBMは今後、LinuxやJavaのような形でサードパーティ開発者文化を育てていきたい考え。対応アプリケーションの互換性を維持するため、Powerアーキテクチャのコア部分は今後もIBMが管理するが、その周辺部分についてはライセンシーが構築に当たれるようにする。

 これによって、ほかの会社が、例えばネットワーク専用処理機能をPowerチップ設計に直接組み込めるようになる。またIBMはサードパーティによる製造の可能性にも道を開いているため、別の半導体製造受託企業がそうしたチップの製造に当たることもできるだろう。

 米ニューヨークで開催のプレスイベントで、IBMの技術・製造担当上級副社長、ニコラス・ドノフリオ氏は、「当社は、他社にイノベーションのチャンスを与える価値体系に基づいて前進していく考えだ。過去の単純なルールは、これからは通用しない」と説明した。

 IBMはイノベーションの名の下で今回の方向転換を図ろうとしているが、もう一つの動機として「スピード」がある。

 半導体開発では小型化がスピードアップを意味するが、IBMには、トランジスタの小型化は限界に近付きつつあるとの認識がある。Powerアーキテクチャをサードパーティに公開し、より多くの機能を直接統合することで、システムの全体的なスピードが増すと同社は説明する。

 この戦略を実行に移すため、IBMは以下のようなアクションプランを立てている。

  • Powerアーキテクチャ半導体開発者「コミュニティー」のためのポータルを設置

  • 開発者がPower技術とシステムとの連携をシミュレーションできるソフト開発キット「Power Architecture Pack」を無償提供

  • サードパーティの開発を支援する場として「Power Architecture Center」を設立

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