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リチウムイオン充電池用の正極に新材料 コバルトを3分の1に削減

» 2004年04月01日 21時44分 公開
[ITmedia]

 日立マクセルは4月1日、リチウムイオン充電池用の新正極材料「スーパーラティス・オキサイド」を開発したと発表した。従来のリチウムコバルト酸化物をほとんど使わずに高容量な充電池を製造できるといい、同社で商品化を目指す。

photo スピネル型リチウムマンガン酸化物ではマンガン1原子あたり0.5個のリチウム原子が活物質中に含まれるが、スーパーラティス構造では、マンガン1原子あたり1個のリチウム原子が含まれるため、取り出せるリチウム量はスピネル型の2倍になる

 スーパーラティス・オキサイドは、マンガンとニッケルを主体とする複合酸化物。ニッケルとマンガンを原子レベルで秩序正しく配置する「スーパーラティス構造(超格子構造)」を採用したことで、リチウムコバルト酸化物とほぼ同等の容量を確保した。高電圧でも安定した充電が可能だという。

 充電時には結晶が収縮し、正極と負極の体積変化が相殺されるため、サイクル特性(充放電の繰り返し特性)も高い。マンガンを結晶内に均一に分布させることで、高温時の貯蔵安定性も高めた。

 同社では、同材料を利用したリチウムイオン充電池の第1弾として、コバルト含有量を従来の3分の1に抑えたものを製品化する。

 従来、正極材料に使われてきたリチウムコバルト酸化物は、高温時や過充電時に不安定な上、レアメタルの1種のコバルトは価格が高騰している。代わりにスピネル型リチウムマンガン酸化物を使う方式もあったが、リチウム含有率が低くなるため容量も下がるという欠点があった。

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