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NVIDIAチーフサイエンティスト「NV50」の存在に言及

» 2004年06月21日 20時07分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 NVIDIAのチーフ・サイエンティストにしてデザイン・設計担当副社長である、ディビット・カーク氏が来日し、これまでNVIDIAが送り出してきたGPUの進化過程の紹介と、GeForce 6800に盛り込まれたパフォーマンスや機能について説明した。

チーフ・サイエンティスト兼デザイン・設計担当副社長のディビット・カーク氏

 カーク氏は、NVIDIAに入社して初めて手がけた「RIVA 128」からNVIDIA製GPUの歴史を紹介。「1997年に登場したRIVA 128は300万個のトランジスタで構成されていたが、1998年に登場したRIVA TNTでは、わずか一年しか経っていないのに倍の700万個のトランジスタを使うようになった」と、過去に登場したダイ写真を前にしてGPUの急激な進化を説明。

 「ハードウェアT&Lやパイプラインを実装したGeForce 256はその後の進化に大きな影響を与えた画期的なGPU」「GeForce 2ではプログラマブルなピクセルシェーダを採用、GeForce 3が登場したときにNVIDIAはリアルスティックなムービー作成にシフトしていった」などなど、各GPUにおける技術的なトピックスを紹介していった。

カーク氏がはじめて手がけたRIVA 128でレンダリングしたCG。当時はこれが最新ゲームの表現力だったのだ

カーク氏が「GPUの進化に大きな影響を与えた画期的なGPU」と評したGeForce 256のダイ写真とGeForce 256のデモソフト「Wanda」と「Bubble」 「それでも、当時はテクスチャの細かい表現ができなかったので、Wandaには黒い服を着せてサングラスをかけさせていたんだ」(カーク氏)

 最新のGeForce 6800についてカーク氏は、「シェーダモデル 3.0」と「FP64」のサポート、そしてそれによって可能になった「High Dynamic Range」を主要な機能として取り上げている。「シェーダモデル3.0によって、これまでさまざまな命令の組み合わせが必要だった複雑な描画が一つのシェーダプログラムで可能になるなど、プログラミングの自由度が向上した」「FP64のサポートで、人間が認識できるのに匹敵するダイナミックレンジが表現可能になった」と、GeForce 6800ファミリーのメリットを開発者、ユーザー双方の視点から説明した。

 カーク氏がGeForce 6800のメリットとしてもう一つアピールするのが、「ワットあたりの処理能力の高さ」と「パイプラインあたりの演算能力の高さ」 前者はノートPCにおける低消費電力駆動を実現するだけでなく、低クロックでも高いパフォーマンスを発揮することを意味し、後者はバリュークラスなどのパイプラインが少ないGPUでもパフォーマンスを維持できることを意味する、とカーク氏は説明する。

 「GeForce 6800は、互換性を持たせたままパイプラインを12本、8本、4本とスケールダウンできる。しかし、最小の4パイプライン構成でもGeForce FX 5950相当のパフォーマンスを発揮できる」(カーク氏)

スライドで紹介されたGeForce 6800の「高効率」を示すデータ。GeForce FX 5950 Ultraよりも低クロックながら、一秒あたりの処理ピクセル数は6倍強という値が出ている

 今年後半のNVIDIA製GPUのロードマップについて、「NV4x」と称するGPUをEnthusiast(ハイエンド)、Performance(ミドルレンジ)、Mainstream(バリュークラス)のすべてのレンジで2004年後期に投入。さらなる高クロック化や大容量メモリの実装(512Mバイト版は予定どおり夏に投入)、アーキテクチャの見直しなどを実施。さらに、来年には開発コード名「NV50」と呼ばれる「より多機能でより高性能の」GPUを投入する予定であることを明らかにした。

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