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2004年度からの戦略貫くマイクロソフトの今年

» 2004年08月10日 17時48分 公開
[堀 哲也,ITmedia]

 7月から新会計年度に入ったマイクロソフト。8月10日、都内ホテルで2005年度の経営方針説明会を開催した。昨年打ち出した戦略は順調に推移しているようで、マイケル・ローディング社長は2005年度さらに一歩進めたいと話す。

 「ワールドワイドの成長率は14%増。日本でもサーバ、Office、MSN、総じて良い結果を出した」。ローディング社長は新年度経営方針説明会で2004年度を振り返り、イノベーションを通じて、顧客の価値を高める同社の原則がうまく機能したと強調する。

 2004年度もマイクロソフトは、Office SystemWindows Small Business Server 2003(SBS 2003)をはじめ、多くの新製品を投入してきた。同氏は「ここでは紹介しきれないほどある」と話すものの、「(Office Systemは)Office XPの導入時よりも速いペースで採用が進んでいる。SBS 2003はカスタマーやパートナーに受け入れられている」と好調だった理由を話す。

マイケル・ローディング社長 「今年の夏はBlasterのような事件は発生しない。起こったとしても十分な準備体制がある」と冒頭で切り出したローディング社長

 2005年度は昨年度の戦略を一歩進め、より一層、顧客・パートナーの満足度向上に向け力を入れる。1時間に渡るプレゼンテーション中で、ローディング社長は何度も「満足度の向上」を口にした。

 「そのためには、まず安全な環境を作らなければならない」とローディング社長。セキュリティ面でも取り組みも変わらず、マイクロソフトにとって第一の課題である一方、業界全体の問題と捉え、(1)ソフトウェアの質・機能といった技術面、(2)政府・教育機関を含めた業界全体との協力、(3)ユーザーの教育・啓蒙活動――3つを軸に2005年度も取り組みを深めていく考え。

 顧客支援面では、ITプロフェッショナル、デベロッパー、インフォメーションワーカーとターゲットを分けたコミュニティにリソースを投下して、継続的にフィードバックを得ていきたいと述べる。

 特にエンタープライズ分野では、「投資への価値をいかに生み出すかにフォーカスする」としており、Lotus Notes、オフコン、Unixなどからのレガシーマイグレーション、そして.NETによるWebサービスへの機が熟したとみており、これらを業界別ソリューションとして実現していく。その鍵となるのが、エンタープライズストラテジックコンサルティングとプレミアサポートで、顧客からの要求に迅速に対応できるかといった尺度で、引き続き効果を見ていくという。

 ローディング氏が強調したい成果は、他にもある。先日発表された電子名刺交換ソフト「Office InterConnect 2004」や「GroupBoard Workspace」など日本のニーズに対応した製品やサービスを提供している点だ。「これは重要なことだと思っている。日本と米国本社の開発との連携を高め、アジア市場などへ輸出したい」と開発面でも意欲を見せた。

 ビジネス面は全般的に好調だったようだが、課題も残されている。セキュリティの問題と台頭激しいLinuxとの争いだ。この2点について、ローディング社長はともに進展があったと評価するが、セキュリティ面では「企業が最新のソフトを展開していないところがありセキュアな状況を生み出しきれていない」と歯がゆさもにじませる。

 Linuxについては、感情論での議論が終わり事実に基づいたものへとシフトしているとして、「マイクロソフトにとっては良いことだ。引き続き、第三者評価機関の調査に基づいた「Get the Fact」キャンペーンに力を入れ、神話と現実を切り離なしていく」(ローディング社長)。

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