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ウェアラブルのXybernaut、Linuxオプションを追加

» 2004年09月02日 12時40分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米Xybernautは顧客、特に欧州の顧客の要望に応えて、ウェアラブルコンピュータ「Atigo T」シリーズのオプションとして、独自にカスタマイズしたLinuxを導入した。

 同社は8月30日の発表で、Linuxのオープンソースコードは特定の業務に合わせて簡単に修正できることから、顧客からLinuxオプションの要望があったと語った。Atigo Tシリーズには、Microsoftの「Windows XP Embedded」が標準搭載されている。

 Atigo TはPDAとTablet PCの中間のようなコンピュータで、ベルトに付けたり、特殊なポケットに入れたり、マジックテープなどで貼り付けたりできるとXybernautの企業開発担当副社長マイケル・ビンコ氏は説明する。価格は1台1500ドルから。

 同氏によると、Atigo Tは1台ずつBTO方式で作られ、顧客はWindows XP Embedded構成かLinux構成か、搭載するアプリケーション、本体の色を選べる。

 AtigoはHilton HotelやFedExなどで採用されている。Hiltonは、空港内で宿泊客のチェックイン手続きを行うスタッフにAtigoを支給している。FedExでは、航空機の整備士が、メンフィスの集荷場でこのデバイスを使っている。

 「各国で急速にLinuxの採用が拡大していることから、当社の関心も自然とAtigoシリーズにLinuxオプションを提供することへ向かった」とXybernautの社長兼COO(最高執行責任者)スティーブン・ニューマン氏は発表文で述べている。「LinuxオプションはAtigo Tシリーズのエントリー価格を引き下げる上に、特に欧州の顧客からの関心が強かった。欧州の学術機関や企業は、組織のITアーキテクチャにいち早くLinuxを取り入れてきたからだ」

 IDCのアナリスト、リチャード・ディーン氏は、ウェアラブルコンピュータは数年前から提供されているが、「明らかにメインストリームに達したことはなかった」と指摘する。

 その代わりに、この種のデバイスは配送会社や政府機関など、物流関連の仕事に就く人々の間で定着しているとディーン氏。今後採用が見込めるのは、警察や消防士といった緊急事態に対応する人々だ。「こうした人々が、今後重要になってくる」

 Xybernautは「この市場で面白いことをやっている」と同氏は語りつつも、米国のウェアラブルコンピュータ市場は比較的小さく、年間売上は1億ドル程度だと指摘する。

 「ウェアラブルコンピューティングはこのレベルにあり、安定していると思う。これはコンピュータを身につけて、両手が空いた状態で活動できるようにするソリューションだ」(同氏)

 Atigo製品はすべて標準的なPCカードとコンパクトフラッシュ用のスロットを備え、これらのスロットで無線LAN規格IEEE 802.11bをサポートしている。

 Atigo TはTransmetaの1GHz Crusoe TM5800プロセッサ、256MバイトのSDRAM、最大1Gバイトのフラッシュメモリ、充電式リチウムイオンバッテリー、USBポート、FireWireコネクタ、8.4インチのタッチスクリーン式ディスプレイを備える。標準キーボードまたはソフトキーボードやその他のアクセサリを接続できる。

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