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「異星人からの通信ではない」とSETI@homeが否定

» 2004年09月07日 16時51分 公開
[ITmedia]

 先日SETI@homeが地球外生命体からの信号らしきものを発見したとNew Scientistが報じ、話題を呼んだが、同プロジェクトの主任研究者であるバークレイ大学のダン・ワーシマー氏は、この件に関する最近の報道は誇張されているとしている。

 SETI@homeによると、問題の信号「SHGb02+14a」は、同プロジェクトが受信した50億のすべての信号と同様に、地球外知的生命体からの信号である統計的可能性を示すスコアが割り当てられている。SHGb02+14aは、2003年3月にアレシボ電波望遠鏡で再観測を行った際に、観測対象として選ばれた上位200位の信号の中でも比較的スコアが高かった。また再観測で確認された数少ない信号の1つであり、セッション後に実際にスコアの上がった唯一の信号だという。

 この点でSHGb02+14aは興味深いが、これが実際に知的地球外生命体からの信号を示している可能性は極めて低いとSETI@homeは述べている。さらに同プロジェクトは2004年5月17日の時点で、この信号は頻繁に、急速にドリフトするため、地球外生命体からの通信ではあり得ないと報告していた。「この信号は非常に急速にドリフトしているため、特定の周波数で、一度に数秒しか聞こえない。言うまでもないが、こうした信号が高度な生命体からのメッセージを運んでいるとは考えられない」とワーシマー氏は述べている。

 アレシボ電波望遠鏡は、地球外生命体からの通信を探して宇宙空間を観測している。SETI@homeプロジェクトでは、この望遠鏡が受信した莫大な信号データを、世界中の数百万台のパーソナルコンピュータのコンピューティングパワーを利用して処理している。「知的地球外生命体の探索はフルスピードで続いているが、現時点ではブレークスルーはない」と発表文には記されている。

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