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WinFSは登場しないかもしれない――?

» 2004年09月13日 13時04分 公開
[IDG Japan]
IDG

 調査会社米Gartnerのアナリストらによれば、米Microsoftは次世代Windowsから「WinFS」を除去すると発表したが、リリースが大幅に遅れているこのプロジェクトをリリースしないという選択肢を選ぶ可能性もあるという。

 Longhornの機能が削減されるかもしれないという4月の警告に続き、WinFSは結局同OSでデビューしないという最近のMicrosoftの発表によって、Longhornは単にリリース予定に間に合わせることを目指した製品のようになりつつあると、Gartnerは顧客向けのリサーチノートで指摘している。ただしLonghornにアップグレードするだけの価値が出てきた場合に備え、引き続きWindows XPにService Pack 2(SP2)を標準採用するよう企業顧客に推奨している。

 2006年後半のLonghornリリースとともに、Microsoftは同OSの開発者向けインタフェース「WinFX」の一部をリリースする。このインタフェースはWindows XPに、Longhornのミドルウェアサブシステム「Indigo」およびユーザーインタフェースグラフィックスサブシステム「Avalon」との互換性を与える。アナリストらは以前から、Longhornと、WinFXを搭載したWindows XPとの違いについて疑問を投じている。

 WinFXの一部をリリースする動きは、Longhornが大きな市場シェアを確保するかなり前の段階で、同OSに対応したアプリケーションの導入基盤を拡大する役に立つほか、企業ユーザーはより長い期間Windows XPを使い続けられるようになるとGartnerは述べている。「ほとんどの企業ユーザーは2011年までWindows XPを走らせるだろう。2010年になってもほとんどのWindowsサーバではWindows 2003 Serverが採用されているだろう」

 Gartnerによれば、現段階のLonghornは主に、売上を増やし、サブスクリプション形式の「Licensing 6」ライセンスプログラムに加入した顧客の気持ちをなだめるための製品のように見えるという。「Microsoftの以前の『Longhornはリリーススケジュールに間に合わせることが第一義ではない』との主張はもはや正確ではないようだ。Gartnerの見解では、Microsoftは売上を押し上げ、Enterprise、Open、Select契約の下でWindowsのSoftware Assuranceプログラムにお金を払った顧客の怒りを鎮めるために、2006年末までにWindows新版をリリースしたいと考えている」とGartnerは述べている。

 Microsoftは、LonghornにはWinFSのリレーショナルデータベース機能の威力を味わえるローカルデスクトップ検索機能が含まれると語っているが、Gartnerは、この発言はWinFSが今後登場しない可能性があることをほのめかしていると見る。「MicrosoftがWinFS抜きの検索機能の改善に努めているということは、同社が遅れているWinFSを今後提供しないという選択肢を選ぶ可能性があるということだ」とGartnerは語っている。

 Gartnerは、企業がWindows XP SP2を標準採用することを推奨している。Longhornの初リリースが登場した際に購入するか、あるいはWinFSを含むLonghornの登場を待つかという2つの選択肢が得られるからだ。当面の間、企業ユーザーはWinFSを含んだ計画を立てるべきではないとGartnerは提言している。

 Microsoftのビル・ゲイツ会長は昨年10月、WinFSは検索技術に関する同氏の10年来の夢であり、自身にとって“聖杯”だと表現した(10月28日の記事参照)。このストレージサブシステムは、個々のアプリケーションとインタフェースからデータを切り離すことで、すべてのデータを統一的に格納・共有可能にする。デスクトップPC、ネットワーク、Webサービスを横断的にデータ検索することも可能になる。

 Microsoft幹部陣は先日行った発表の場で、WinFS抜きのLonghornは、Microsoftが声高にうたってきた「革命」よりも、むしろWindows XPの「進化版」に近いことを認めた。このとき同社のリードプロダクトマネジャー、グレッグ・サリバン氏は、「Windowsに向けた非常に野心的な展望へのアプローチとは異なり、過去に説明したような飛躍的な一歩というよりも、段階的に進むように見えるやり方だ」と語った。

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