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『スピリチュアルマシンの時代』のカーツワイル氏に聞くナノテクの未来Interview(3/3 ページ)

» 2004年11月05日 14時32分 公開
[IDG Japan]
IDG
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―― あなたの音声認識技術の研究は、現在の長寿の研究にどんな形で役立っていますか。

カーツワイル 私の長寿の研究と発明者としての役割の間にはつながりがあります。私は自分の発明のタイミングを計るために技術動向に興味を持つようになったのですが、やがてそれ自体が一人歩きを始めました。今日、私は多くの分野の技術動向についてデータを集め、技術進歩の数学的モデルを開発するために、研究者のグループと仕事をしています。私は、20年前までさかのぼったこのモデルに基づいて、かなりの確度で予測に成功しています。このモデルに基づいて、健康分野でのバイオテクノロジーとナノテクノロジーの新たな役割を予想できます。グロスマン博士と私の、根本的な生命延長への「懸け橋への懸け橋への懸け橋」も、このようにして開発されました。

―― 音声認識は、どのように成功し、またどのように失敗しているのでしょう?

カーツワイル 何百万もの人が、大語彙音声認識技術を使ってテキストを作成していますが、それは何億人といるコンピュータユーザーの中では、まだ小さな割合です。精度は徐々に上がっており、この技術は最終的にはもっと広まるでしょう。電話での大語彙不特定話者音声認識のユビキタスな使用が始まっています。例えば、British Airwaysへの予約に関連することであれば、どんなことでもBritish Airwaysの音声認識ソフトによる仮想旅行代理店と話すことができます。多くの企業がこの方法を採用しつつあり、数年のうちには広く普及するでしょう。

―― 障害者を助ける技術についてはどうですか。

カーツワイル 私がかかわってきた分野の一つである盲人用読み上げ機は、目の不自由な学生や社会人が印刷物を読むのに役立っています。資料のイメージ上で、話されているテキスト部分を強調表示する機能を持つ読み上げシステムは、今日約10万人の失読症の学生を助けています。これらは両方ともKurzweil Educational Systemsの技術です。手足を失った人のための義肢システムには、コンピュータ制御を含む先進技術を使用しています。究極的には、身体障害者の脳のパターンを拾い上げて、その信号を翻訳し、無線で手足に転送し、動いたり歩いたりする能力を回復させることができるようになるでしょう。音声認識は耳の不自由な人に字幕を提供するために使われるでしょう。

―― ナノテクノロジーに基づく自己複製が2020年には現実のものになるというあなたの考えは、とても恐ろしく聞こえます。心配しなくていいのでしょうか。

カーツワイル 先ほど言ったように、それは実際心配です。しかし、考えてもみてください。最初のソフトウェアウイルスが出現したとき、観測者は、やがてウイルスはもっとずっと精巧になり、インターネットを破壊することになるだろうと言いました。その予測の前半は当たりましたが、後半は外れました。防御の技術が攻撃の技術とともに発展したからです。ナノテクノロジーのような21世紀の技術の危険に対しても、同じ戦略が必要とされています。



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